穀物繊維の摂取が不足している
食物繊維を摂るために野菜を積極的に食べよう、というのは周知のこと。この野菜と同じくらい積極的に摂るべき栄養素が、同じ食物繊維でも穀物の食物繊維である「穀物繊維」、と青江氏はいう。
日本人の米の摂取量は年々減少傾向にある。糖質制限ダイエット(炭水化物抜きダイエット)などのブームもあり、主食を減らしている日本人も少なくない。こうしたことから「穀物繊維」の不足が起こっている危険性があると青江氏は指摘する。
ある調査によると、日本人の成人が1日に摂取する食物繊維量は、1995年には20gを超えていたが、今では14g程度にまで減少しており、特に穀物からの摂取量が減っていることが明らかになっているという。
穀物繊維、糖尿病のリスクを低減
炭水化物は糖質と食物繊維から成る。炭水化物を抜くと、過剰摂取になりがちな糖質が制限されるが、食物繊維の摂取まで減りがちだ。日本人の食物繊維の摂取量が減少傾向にあるのは、穀物の摂取量の減少と密接に関係していると考えられると青江氏。
ある大規模調査のデータ解析によると、食物繊維の総摂取量よりも穀物繊維摂取量が多い方が糖尿病のリスクが低減することが判明。また、野菜や果物からの食物繊維量と糖尿病のリスク低減の関係が見い出せないことも分かっているという。
さらに、精製した小麦で作る食パンなどは食物繊維量が非常に少なく、体脂肪を増やす可能性が高いが、全粒粉の摂取量が多ければ多い人ほど皮下脂肪や内臓脂肪の量が少ないということも分かったという。
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類ある。腸の掃除については不溶性食物繊維が行う。また、便の量を増す、腸の蠕動運動を促進させる、有害物質を便とともに体外に排出するなどの作用がある。
水溶性食物繊維は水に溶けるとネバネバし、胃や腸の中で食べた物と一緒に混ざり合い、消化吸収を緩やかにすることで、食後の血糖値を穏やかにする。
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