「セロトニン」の95%が腸管で作られている
トレイルエスワン乳酸菌は漬け物から抽出された植物性乳酸菌の1種。京都パストゥール医学研究センターと京都府立医科大学との共同研究で、サイトカインの一つであるトレイル(TRAIL)の産生を促進する作用を有することが確認された、まったく新しいタイプの乳酸菌だという。
私たちが健康であるためには腸内環境を整える必要があり、腸内環境と乳酸菌の関係について、ここ数年各方面で研究が進んでいる。
腸管には健康を維持するための幾つかの機能が存在している。免疫機能の60%以上が腸管に集中し、第二の脳と呼ばれるほど脳機能とも関係している。
近年はうつ症状を防ぐために重要な神経物質「セロトニン」の95%が腸管で作られていることも明らかとなっている。
またさまざまな疾病は自律神経系の乱れに由来することが多い。腸はまさに自律神経系そのものであり、「腸内環境を整えることこそ病気の予防・健康の維持に重要」で、今まさに「腸」に注目が集まっている。
トレイル、がん細胞をターゲット
トレイルエスワン乳酸菌が腸の中でどのような働きをするのか。注目すべきは他の乳酸菌とは異なる特異的な働きをする点にあること。そもそもトレイルエスワンの名前の由来であるサイトカインのトレイルとはどんな物質なのか。
サイトカインとはリンパ球が抗原に結合した時にリンパ球から分泌される特殊なたんぱく質のことで、現在数十種類が見つかっている。
サイトカインの中でもトレイルはがん細胞をターゲットとして作用することが分かっており、がん細胞に存在するトレイル受容体に結合することで、細胞のアポトーシス(自然死)を引き起こし、がん細胞を死に至らしめる。
こうしたトレイルの特異的な働きから、トレイルやトレイル受容体をターゲットにした抗がん剤の開発が、現在多くの研究者により進行している。
正常な人の体内でも1日に数千個のがん細胞が作り出されていることは今や周知である。しかし、それらのほとんどは健康であれば免疫機能や代謝機能が正常に働き消滅する。
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