漬け物から抽出された植物性乳酸菌「トレイルエスワン」の有用性 〜健康博覧会2015セミナー

2015年3月11日(水)〜13日(金)、東京ビッグサイトで、「健康博覧会2015」が開催された。同展示会セミナーからタマ生化学鰍ノよる「TRAIL活性型乳酸菌「トレイルエスワン」の特徴」を取り上げる。


「セロトニン」の95%が腸管で作られている

トレイルエスワン乳酸菌は漬け物から抽出された植物性乳酸菌の1種。京都パストゥール医学研究センターと京都府立医科大学との共同研究で、サイトカインの一つであるトレイル(TRAIL)の産生を促進する作用を有することが確認された、まったく新しいタイプの乳酸菌だという。

私たちが健康であるためには腸内環境を整える必要があり、腸内環境と乳酸菌の関係について、ここ数年各方面で研究が進んでいる。

腸管には健康を維持するための幾つかの機能が存在している。免疫機能の60%以上が腸管に集中し、第二の脳と呼ばれるほど脳機能とも関係している。

近年はうつ症状を防ぐために重要な神経物質「セロトニン」の95%が腸管で作られていることも明らかとなっている。

またさまざまな疾病は自律神経系の乱れに由来することが多い。腸はまさに自律神経系そのものであり、「腸内環境を整えることこそ病気の予防・健康の維持に重要」で、今まさに「腸」に注目が集まっている。

トレイル、がん細胞をターゲット

トレイルエスワン乳酸菌が腸の中でどのような働きをするのか。注目すべきは他の乳酸菌とは異なる特異的な働きをする点にあること。そもそもトレイルエスワンの名前の由来であるサイトカインのトレイルとはどんな物質なのか。

サイトカインとはリンパ球が抗原に結合した時にリンパ球から分泌される特殊なたんぱく質のことで、現在数十種類が見つかっている。

サイトカインの中でもトレイルはがん細胞をターゲットとして作用することが分かっており、がん細胞に存在するトレイル受容体に結合することで、細胞のアポトーシス(自然死)を引き起こし、がん細胞を死に至らしめる。

こうしたトレイルの特異的な働きから、トレイルやトレイル受容体をターゲットにした抗がん剤の開発が、現在多くの研究者により進行している。

正常な人の体内でも1日に数千個のがん細胞が作り出されていることは今や周知である。しかし、それらのほとんどは健康であれば免疫機能や代謝機能が正常に働き消滅する。

がん細胞の死滅に不可欠なサイトカインがトレイルで、さまざまな乳酸菌の中でも、トレイルエスワン乳酸菌にはトレイルを増強する作用があることが、パストゥール医学研究センターと京都府立医科大学の共同研究により明らかになっているという。

古い胆汁酸の排出や新たな胆汁酸の合成

また、トレイルエスワンには別の新たな知見もみつかっているという。腸の働きの中でも今最も注目を集めているのが「腸内環境」と「胆汁酸」との関係。

胆汁酸は食物の消化、特に脂質の消化にとって重要な役割を担っている。胆汁酸は肝臓で合成され、胆のうに蓄積され、食物消化の際に胆管より放出される。放出された胆汁酸は腸管を通じて再吸収され肝臓に戻る。

しかし高脂肪食を食べると胆汁酸が腸に長く留まり、肝臓での胆汁酸の合成が遅れ、脂肪の消化吸収作用も低下するという悪循環が起きる。

胆汁酸が新しいほうが脂肪燃焼や血糖値の低下に役立つため、胆汁酸の合成量は多いほうが肥満や糖尿病の予防になる。

現段階ではラットの実験ベースだが、糖尿病化させたラットにトレイルエスワンを摂取させたところ、古い胆汁酸がより顕著に体外に排出され、新たな胆汁酸が作られることなどが認められたという。

ヒト試験で、便秘への有用性

トレイルエスワンについてはヒト試験も行われている。健常者のボランティアに対し、トレイルエスワンを2週間摂取してもらったところ、便秘の改善などの効果が感じられるという報告が10名中7名から得られたという。

トレイルエスワンはサイトカインのトレイルの活性を主にした、画期的な乳酸菌で、生活習慣病の改善も示唆され、今後の研究と活用に期待が集まっている、とした。


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