素材メーカーの視点で見た新たな機能性表示制度 〜ifia Japan 2015展示会セミナー

2015年5月20日〜22日、東京ビッグサイトで、ifia2015「第20回国際食品素材/添加物展・会議」が開催された。同展示会セミナーから協和発酵バイオ鰍フ「素材メーカーの視点で見た新たな機能性表示制度と機能性関与成分」を取り上げる。


6月以降、「機能性表示食品」が流通

今春より機能性表示制度がスタートした。現在、消費者庁には製品の届出が続々と行われているが、どのようなことに注意すべきなのか。セミナーでは制度の全貌と解説、今後「機能性表示成分」として対象になるであろう注目の成分が紹介された。

6月以降、市場に「機能性表示食品」が出回ることになる。トクホとは違う新制度での安全性や食品の機能性が明確に表示された食品ということになるが、最大の特徴は「健康な人が、さらなる健康の維持増進、保健の目的で摂取する食品」ということ。

機能性表示を行うためには対象商品の販売60日前までに、必要な資料を消費者庁に届け出なければならない。すでに表示が認められている商品もあり、消費者庁のホームページなどで公開されているが、この制度について大きなポイントは以下の5つになる。

加工食品や生鮮食品も対象

1、対象食品となるかどうかの判断
今回はサプリメント形状の加工食品、それ以外の加工食品だけでなく生鮮食品までが対象食品となる。この食品の形態の違いにより、エビデンスの根拠の提示方法も異なる。

2、安全性の根拠
安全性の根拠については食経験があるかどうかが大前提となる。 喫食実績による食経験の評価、次に既存情報による安全性の評価、次に安全性試験による評価という順番で、安全性を証明する必要があるが、食経験での評価が最もスムーズであろう。

また安全性の評価において、他にも重要になる点が、医薬品との相互作用、または機能性成分が複数含まれる商品の場合、機能性関与成分同士の相互作用についても届け出なければならない。

3、生産の管理
生産製造および品質の管理体制は非常に重要な届出事項であり、GMPやHACCPなどの管理体制で生産を行っているかを届け出る必要がある。また原材料の調達方法や管理方法、製品の規格、試験の体制などについても届出書類に記載することとなっている。

4、機能性の根拠
機能性の根拠については、最終製品を用いた臨床試験を行う場合、トクホの試験方法に準拠(科学的合理性が担保されている場合は別の試験方法を用いることが可能)することが求められている。

しかし最終製品または機能性関与成分に関する研究レビューの分析によるものでも可能である(論文の質が重要視される)。

5、表示の内容
表示については容器包装への機能性表示が可能となるが、エビデンスの提出方法によりその記載方法も異なる。

  • 最終製品のヒト試験による場合「本製品にはAが含まれ、B機能があります。」と表記が可能。
  • 最終製品に関するSRによる科学的根拠の場合「本製品にはAが含まれ、B機能があることが報告されています。」と表記が可能。
  • 含まれる機能性成分のSRによる科学的根拠の場合「本製品にはAが含まれます。AにはBの効果があることが報告されています。」と表記が可能になる。
RS(システマティックレビュー):文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験(RCT)のような質の高い研究のデータを、出版バイアスのようなデータの偏りを限りなく除き、分析を行うこと(「Wikipedia」より)

システマティックレビューで、エビデンスを絞り込み

協和発酵バイオでもSRを行っているという。例えば、コエンザイムQ10の「心臓保護作用」で試験的にSRを行った際には以下のような方法をとったという。

まずは「成分名」で論文を検出。すると約10000本近い論文が出てくる。次に「成分名+heart」で絞り込むと2000本にまで絞り込まれ、さらに「成分名+heart+ヒト試験」で検出をかけると120本まで絞り込まれる。

この120本を独立した3人で56本まで絞り込み、さらに独立した3人で17本までスクリーニングを行った。そして最終的にこの17本の論文の質を独立した3人で最終スクリーニングし、最終的に7本まで絞りエビデンスの強さを判定したという。

また、現在オルニチン、シトルリン、アルギニン、ルテイン、グルコサミンといった成分についてもSRを行っているという。 SRは大変な作業だが、原料メーカーとしては今後も積極的に行っていきたいとした。


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