栄養表示における強調表示 〜ifia Japan2015展示会セミナー

2015年5月20日〜22日、東京ビッグサイトで、ifia Japan2015「第20回国際食品素材/添加物展・会議」が開催された。同展示会セミナーから一般財団法人 食品分析開発センターSUNATECの「栄養表示における強調表示」を取り上げる。


「食品表示の一元化」が発端

2015年4月1日、食品表示法が施行され、今最も注目度の高い機能性表示制度がスタートしている。しかし機能性表示制度にだけ注目するのではなく、この新たな制度も含めそもそも「食品表示の一元化」が発端になっているという。

つまりこれまでバラバラと存在していた「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」の3つが「食品表示法」という一つの法律にまとめられ、その表示法のなかに「食品表示基準」が設定されているということである。

この「食品表示基準」の中には「付加価値の表示ができる制度」というものがあり、それには「機能性表示」も含め4種類ある。

  • 特定保健用食品(トクホ)〜機能性(効果・有効性)の表示が可能だが、国による安全性の審査や個別の許可が必要となり難易度が高い。
  • 機能性表示食品〜トクホのハードルほどではないが、企業責任を問われること、またトクホレベルの安全性や有効性の情報を届け出る必要がある。
  • 栄養機能食品〜機能性表示可能。一定の基準を満たしていれば届出不要で表示可能。
  • 栄養強調表示〜含有量の強調表示可能。一定の基準を満たしていれば届出不要で表示可能。

というものである。

強調表示も4月に見直し

機能性表示やトクホで表示をしたいと思う企業が少なくないが、強調表示もこの4月に見直しが行われ、有効に活用すれば差別化や付加価値になることを今一度知って欲しいという。

強調表示とは「毎日の食生活で不足しがちな栄養成分」や「摂り過ぎが気になる栄養成分」について、「補給できる(高い、含む、強化)」または「適切な摂取ができる(含まない、低い、低減)」といういずれかの表示が可能である。

対象成分は「補給できる(高い、含む、強化)」成分はたんぱく質、食物繊維、ミネラル5種類+4月よりカリウムの6種類、ビタミン10種類とナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸の21成分。「適切な摂取ができる(含まない、低い、低減)」成分は熱量、脂質、ナトリウム、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類の6成分となっている。

「補給できる」成分について、その成分含有量が「高い」場合、「豊富」「高」「たっぷり」「リッチ」といった言葉を使用することができる。また、含む場合は「含有」「しっかり」「入り」「使用」「添加」といった言葉を使用することができる。

この他、基準より強化されている場合は、「強化」「増」「アップ」「プラス」なども使用可能なワードになる。

逆に「適切な摂取ができる」成分について、その成分を含まない場合は「ノン」「無」「ゼロ」「レス」といった言葉が使用できる。また、低い場合は「低」「控えめ」「小」「ライト」などの言葉を使用できる。この他、基準より低減されて場合は「減」「オフ」「カット」といったワードも使用が可能。

機能性表示以外でも強調表示が可

つまり、決められた27種の栄養成分については強調表示の基準が設けられていて(2015年4月に最新版が発表)、自社商品を決められた分析方法で分析した結果、得られた値が基準値を満たしていれば、強調表示が可能になる(ただし、強調表示をする場合は含有量も必ず記載する必要がある)。

この4月に「たっぷり」などと強調する場合の基準値が変更になっている。すでに強調表示をしている製品については新たに決められた基準値に準じているか調べ、必要があれば2020年までに表示を変える必要がある。

27種のほとんどの成分で基準値が見直されたが、例えばたんぱく質などは基準値が増加したがカルシウムは減少するなど、成分によって変更の度合いも違うため注意が必要となる。

第三者機関を有効に活用し、機能性表示以外の強調表示で新たな差別化、付加価値の添付について検討してみるのもよいのではないかとした。


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