微量栄養素、体内欠乏の際の摂取行動とは
私たちの生命の維持に欠くことのできない栄養素に「微量栄養素」がある。主要栄養素に比べ、一日あたりの摂取量は少なくて良いが、それでも毎日過不足なく摂取しなければ、生体機能にさまざまな悪影響を及ぼす。
しかも微量栄養素は人間の体内では合成することができない。そして微量栄養素は「味」がほとんどない。私たちが日頃「食欲」をかき立てられ「摂取行動」を起こすには「味そのものへの嗜好」か「食後効果(食後の体内で行われる生理活性や代謝)」が必要である。
しかし微量栄養素の場合、味もせず、それ単独では機能しないため「嗜好」や「食後効果」が生じにくい。そのため、微量栄養素が体内で欠乏した時、一体どのように「摂取したい」という欲求と行動が引き起こされるのか、現在この点でわかっていない部分が多いという。
微量栄養素が足りない時、食塩に対する嗜好性を増加
一般的に微量栄養素が体内で欠乏した場合、多くの場合「塩味」を手がかりとして欠乏物質を検出し摂取することが多い、とされている。
例えばリジンや亜鉛が不足した動物(ヒト含む)は通常以上に塩味を求めるようになるが、これは塩味を手がかりにリジンや亜鉛を探していると考えられているという。
ナトリウム(塩味)が欠乏すると、普段は口にしないレベルのしょっぱいものを欲するようになることが複数の動物実験からも報告されている。
つまり「微量栄養素が足りない時は、食塩に対する嗜好性を増加させることで、食塩を積極的に摂取し、食塩と一緒に存在する微量栄養素も自ずと摂取できるように調整している」と考えられている。
しかし、この仮説はすべての微量栄養素に当てはまるのか?
はたして「微量栄養素の欠乏は塩味を手がかりに検出され、それが摂取行動の基盤になる」という仮説が、すべての微量栄養素の不足時にも成立するのか、今回の研究では「ビタミンCが欠乏した場合」で調べたという。
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