血糖値の上昇を緩やかにするパラチノース
〜第4回スポルテック2015セミナー


2015年7月28〜30日、東京ビックサイトで、「第4回スポルテック2015」が開催された。同展示会セミナーより三井製糖鰍フ「持続性エネルギー糖質パラチノースのスポーツフーズ利用例」を取り上げる。


カロリーを「量」ではなく「質」でみる

糖質制限ダイエットなどのブームもあり糖質=悪者といったイメージを持つ人も少なくない。しかし、糖質は生命を支える基礎的な栄養素であり、たんぱく質、脂質とともに三大栄養素として知られる。

実際、日本人の摂取エネルギーのうち約60%は糖質であり、糖質は「筋肉のエネルギー」「脳のエネルギー」「筋肉の合成」といった主に3つの重要な役割を担っている。

肥満防止のために行う過剰な糖質摂取制限、血糖値の上昇のみを抑えようと考えた低GI値の考え方ばかりが注目されてきた。

しかし、それでは糖質を摂取することで得られる満腹感、幸福感、美味しさ、そして先に挙げた3つの糖の役割が損なわれてしまう。

そこでカロリーの「量」ではなく「質」を見ていこう、というのが「スローカロリー」の考え方で、小腸における糖質の消化・吸収速度がゆっくりであることは、体にとって非常に有益であることがわかってきたという。

3種類の糖

糖には主に3種類ある。この3種類の糖をタイミングやシーンで上手に使い分けできることが理想だという。
まずは「ファストカロリー」。これは主に清涼飲料水に含まれる糖や砂糖菓子、果糖、ブドウ糖などで、摂取すると30分後には血糖値を急激に上昇させる。

そのため、スポーツや試合中の栄養補給、トレーニングのラストスパート、スポーツ後のすばやい疲労回復といったタイミングで摂取するのが適しているという。

そして「スローカロリー」。これは食物繊維の多い炭水化物(おにぎり)やパラチノースなどのことで、小腸で非常にゆっくり吸収され血糖値もゆっくり上昇する。

そのため、血糖値の低下も緩やかで、そのため空腹感が起こりにくく、持久系のトレーニングやスポーツ、あるいは就寝時に適した糖といえる。

そして「低吸収型」。これはゼロカロリー系の食品に多く、ほぼ吸収されることはないので、体に対する有効性はカロリーカット以外にないといえる。

しかも低吸収型は体重を気にする人の気休めになっても、肥満予防効果はほとんど得られない。また低吸収型の食品を利用したダイエットを行うとだいたい「空腹に耐えられない」と感じ、リバウンドや失敗に終わりやすいというデメリットもある。

「スローカロリー」のパラチノース加工商品が注目

この中で、「スローカロリー」によるダイエットに注目が集まっている。「スローカロリー」の最大の利点は「腹持ちが良い、満腹感を得やすい」という点にある。

特に忙しい現代生活において、食事の時間は非常に慌ただしく、スピーディに吸収できる食べ物が多くなりがちだが、吸収の早い食べ物ばかりを食べていると、集中力の低下、頻繁に訪れる空腹感、生活習慣病、メタボなどの要因になりかねない。

一方、「スローカロリー」であれば速やかに補給できるが、吸収はスローという食スタイルが可能となる。そのため「スローカロリー」の代表選手である「パラチノース」を加えた加工食品に非常に注目が集まっているという。

パラチノースとはハチミツに微量に含まれる天然の糖質で、砂糖の主成分であるスクロースに微生物が持っている酵素を作用させ、ブドウ糖と果糖の繋ぎ方を変えることで作られている。

パラチノースは砂糖に非常によく似たさっぱりしとした甘さであるにも関わらず、甘味の強さは砂糖の約半分で甘過ぎない「さっぱりとした甘さ」が特徴。

パラチノース、食品として30年以上も使用されている

パラチノースは天然の糖質であるため、特定保健用食品の成分としては「虫歯の原因になりにくい食品」として既に認められており、国内では食品として30年以上も使用されている。

カロリーは砂糖と同様1gあたり4kcalだが、砂糖や炭水化物に比べ小腸での分解が非常に緩やかで、パラチノースの消化・吸収速度は砂糖の1/5程度であることがわかっている。

またパラチノースと同時に摂取した他の糖質や炭水化物も、パラチノースのおかげで単体摂取するよりも消化・吸収の速度を下げる効果もある。

しかしながら、現状はパラチノースそのものが販売されていることはほとんどなく、パラチノースを摂取したい場合は、パラチノースの添加された食品を選ぶしかない。

砂糖代わりに使用したい場合は、パラチノースと砂糖が混ざった甘味料が販売されているので、それを使うのが一般的だという。

よく噛むことは血糖値の上昇を抑える

パラチノースを使用する以外に「スローカロリー」にする方法はいくつかある。まずはすでに有名になっている「ベジタブルファースト(野菜から食べる)」。

血糖値の急激な上昇を抑える食事療法としては、食べる順番を「野菜→たんぱく質→最後に炭水化物」にすること。

そして「よく噛むこと」。よく噛むことによって消化管ホルモンの一種である「インクレチン」の分泌が高まり、このインクレチンが高血糖を改善する作用を持っているため血糖値の上昇を抑える。

糖質の吸収をスローにする

もちろんよく噛むためには、食材を大きめに切って調理する、歯ごたえのある食材を調理する、といった工夫も必要だ。また食材としては食物繊維が豊富な海草類、キノコ類、乾物類、こんにゃくなどを選ぶこと。

野菜であれば根菜類、ご飯であれば雑穀米や玄米を選ぶことがポイントとなる。また砂糖については上白糖よりも黒糖やきび砂糖のほうが血糖値はあがりにくい。

また善玉菌を増やし腸内環境を整える「ガラクトオリゴ糖」や「フラクトオリゴ糖」などを選ぶことや、砂糖の変わりにパラチノースを利用した加工食品などを選ぶことが効果的だ。

いずれにせよ、糖質をカットするのではなく、糖質の質を見極める、糖質の吸収をスローにすることで、私たちの健康状態はまだまだ改善できる、と話した。


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