販売戦略を考えなければ売れない
この4月より機能性表示制度がスタートした。これにより、以前よりもわかりやすく食品の機能性について訴求できるようになった。しかし、機能性が表示できるようになったからといって商品が即売れるようになるわけではない、と中澤氏。
あくまで表示に関する制度にすぎず、健康食品を「どう売ればいいのか」に踏み込んでいるわけではない。リーガルとマーケティングを両方同時に見据えながら、商品設計、パッケージデザイン、販売戦略を考えなければ健康食品は売れない。
今回の新制度は企業にとっては壁になるかもしれないが、うまく活かせば武器にもなる、と解説。
「機能性表示」制度で、米国の健食市場は5倍に
現在、日本の健康食品市場は1兆円超である。今回の制度のモデルとなったアメリカの健食市場は、20年前は現在の日本と同様1兆円規模であった。
しかし、「機能性表示」制度がスタートし、アメリカの健食市場は5兆円超となり、わずか20年でおよそ5倍に拡大した。
つまりこの制度を有効に活用すれば、日本の健食市場も同様に拡大の可能性を秘めている、と中澤氏。
日本の健食市場がこれまで伸び悩んできた最大の理由は「表示の問題=法の壁」であった。商品をうまくPRできない。商品のストーリーが打ち出せない。
そうなると健食のマーケットは店販ではなく通販へと傾いた。通販であれば「安全性、品質、天然」といったワードを商品ストーリーとして訴求できた、と中澤氏は指摘。
今や米国では通販と店販が逆転
現在、日本の健食市場は通販が70%、店販が30%の割合になっている。実は20年前の米国も同じような状況であった。しかし、今や通販が20〜30%、店頭販売が70%に逆転しているという。
日本で、こうした逆転は期待できないかもしれないが、機能性表示制度を十分に活かした棚づくり、見せ方を行えばまだまだ店頭での市場拡大の可能性は十分にあると、中澤氏。
機能性が表示できる食品制度の先駆けはトクホ制度だが、1991年にスタートしすでに25年が経過している。最初の5年間は周知されることがなかったが、この20年で徐々に商品数を増やし、現時点で1100商品程度が認可されている。
機能性表示食品、すでに800近い商品が消費者庁に申請
現在、機能性表示食品はすでに800近い商品が消費者庁に申請されている。マンパワー不足で、現在80強の商品しか許可されていないが、あっという間にトクホの25年の歴史を塗り替える商品数になることが予測される、と中澤氏。
トクホは、わずか10程度のヘルスクレーム(健康強調表示)しか認めなていない。そのため、マーケット全体を底上げするほどの力になり得なかった。
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