消費者庁もスピードアップ

セミナーの前半は健康栄養評価センターの柿野氏により、4月からの「機能性表示食品」の現状や届出状況、今後提出する際のガイドライン攻略法などを解説、後半はCepham Inc.の研究者がローズマリー抽出物について紹介した。

機能性表示食品への注目が高まっており、10月6日時点で消費者庁ホームページに登録された商品数はすでに100を超えている。この登録スピードについて賛否両論あるが、消費者庁もスピードアップに力を入れているように見えるという。

論文ベースの届出が多数

この制度は「企業の責任において」「商品の機能性について」商品に掲載することができる、というものだが、機能性を表示するにあたりエビデンスを「論文をベースにする（SR）」か「トクホに準ずる臨床試験の結果を提示する」かを消費者庁に届出しなければならない。

この制度がはじまる以前は、「SR」か「臨床試験」かという話題で盛り上がった。制度がスタートすると、約100製品のうち「臨床試験」により届出したケースは16件しかない。

1件のみ「SR」と「臨床試験」の併用、残りの86件は「SR」によって届出をしており（2商品が登録削除）、今後も「SR」による届出のほうが基本となりそうだ、と解説。

「減らす、抑える、軽減する」などの文言が多い

また関与成分で現状最も多いのが「難消化性デキストリン」。この成分ですでに11商品が登録完了している。他にも酢酸、ルテイン、ヒアルロン酸、そしてビフィズス菌系などが多く登録されている。

しかし機能性成分のバラエティはトクホよりも多く、消費者も選びやすくなっている。また、形状としてはサプリメントが圧倒的に多いが、生鮮食品も２件あり、今後生鮮食品の増加が予測されるなど、消費者も期待しているのではないか。

文言については、「減らす、抑える、軽減する、下げる、高める、助ける、緩和する、調整する、維持する、改善する、保護する、サポートする、役立つ」といったものが多く、トクホより自由度が高く、消費者も選びやすくなったといえるという。

消費者庁は「安全性」を一番チェック

制度が始まる前はSRの本数を含め、いかにエビデンスの質を高めるかについて注目が集まっていた。しかし、実際消費者庁が一番チェックしているのが「安全性である」という。

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「食経験がある」というだけでは不十分で、プラスアルファの情報を提示しないと安全性が十分にあるとは認められない。

喫食実績による食経験の評価のみで「安全性が十分」と評価されることは皆無であり、今後機能性表示食品への登録を視野に入れている企業は、やはり何よりも安全性に一番コストと時間をかけるべきだ、と解説した。

消費者庁、表示を徹底調査

この７月から1ヶ月間、消費者庁は「食品表示の夏期一斉取り締まり」を行っている。対象商品には機能性表示食品やトクホ商品も含まれる。つまり国として、表示に問題がないかを徹底調査しているというわけだ。

現状どの企業や商品が監視に引っかかったかはまだ公表されていないが、やはり消費者にとってわかりやすく、誤解をまねくことなく、信頼を得られる表示をする努力が引き続き求められている。

しかし、この制度にうまく乗れている商品や企業は、商品の海外展開や新規顧客獲得、既存顧客の活性など、ビジネスに大きく活かせているという。どの企業にもチャンスはあるため、制度を上手に活かして欲しいと話した。

ローズマリーなど日本市場で展開

後半はCepham Inc.（セファム社）の研究員（米国人）が、ローズマリーなど新たな機能性食品の紹介した。セファム社では植物由来のサプリメントの原料を製造販売している。機能性表示や健康食品ブームが活況な日本で、新たな植物由来成分を紹介し、新たな市場を獲得したいという。

ローズマリーは、ドイツでは外用により血行不良の補助的治療での使用やヒト試験で脳や神経系での有効性が評価されているという。

この他、体重管理や血糖値のコントロールに効果的とされるグリーン・コーヒー（生コーヒー豆エキス）、食欲抑制や血圧の管理に役立つとされるアフリカンブッシュマンゴー種子抽出物、筋肉増強や男性ホルモンの向上に関与が期待されるフェヌグリーク抽出物も紹介した。

現在、同社では欧米ですでに評価の高い植物や成分を日本の大学や企業と共同研究し、日本人向けの機能性表示食品や健康食品として展開できるよう、研究や商品開発を進めているとした。

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