しっとり感とサクサク感を合わせ持つ
トレハロースはキノコ類、酵母、パン、ワインなどに含まれる糖で、もともと自然界に存在している。
現在、主に添加物として、素材の鮮度維持や保持性の向上、風味、色彩、食感の向上に役立つ素材として利用されている。
トレハロースは、食品に添加するとしっとり感や柔らかさを保持する。その一方で、サクサク感やカリッとした食感を高めるという、相反する特徴がある。他にも、たんぱく質や脂質の変性を抑える。
トレハロースは砂糖よりも食品に与える機能の数が多い。現在は11種類の機能が解明されている。
水を引き込む力が強い
添加する食品中の水分量に対し、トレハロースをどれくらい配合させるかにより、トレハロースの機能はさまざまに変化する。
例えば水分量の多い食品に加えればしっとり感や柔らかさを保持するのに役立つ。これはトレハロースが他の糖質に比べても水を引き込む力が強いからと考えられている。これをトレハロースの「水和特性」という。
他の糖類と比べ、トレハロースはどのような水和特性を持っているのか。マルトース、スクロースという他の2つの糖と比較してどのような違いがあるのか。
実はこの3つの糖は同じ分子式と同じ分子量を持っているが、立体構造に大きな違いがあるため異なる親和性を示すことがわかっていると櫻井氏。
例えば、同じ量の糖水溶液を作ろうとすると、トレハロースに必要な水の量は、マルトースやスクロースの場合より少なくて済む。
このような特徴を示すのはトレハロースがいわゆる二枚貝構造になっているためだ。
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