65歳の4人に1人は認知症とその予備軍
現在、日本は世界一の高齢化社会となっている。2012年の厚労省の調査によると65歳の4人に1人は認知症とその予備軍で、うち6〜7割がアルツハイマー病であることがわかっている。
アルツハイマー病は発病までは非常にゆっくりだが、徐々に加速度的に進行する。脳が萎縮し記憶障害を中心に認知機能が低下していく。
現在、アルツハイマー病の治療薬として主なものは2種類ある。1つが「ドネペシル」で、年間3500億円以上の売上げがある。もう一つが「メマンチン」で、ドネペシルと併用されることが多い。
しかしいずれも進行を遅延させることしかできず、治療薬も治療法も患者にとって満足度の低いものになっている。
ポリフェノール、アルツハイマー病のリスクを低下
アルツハイマー病は早期発見、早期治療、そして予防が大切だが、実は発症する20年ほど前から、脳内に変化が起こり始めることがわかっている。
その変化とはシナプス障害やアミロイドβ(Aβ)の蓄積である。そのため日々の食事で発症を遅延させることも可能と考える研究者も少なくない。
小林氏らのチームはそうしたアルツハイマー病を遅延させる機能を有する食品を模索するなかで「ポリフェノール」に着目したという。
というのも、例えば疫学的にポリフェノールを多く含むワインを飲用したり、カレーをよく食べる人には、アルツハイマー病が少ないことや発症のリスクが低いことが報告されているからだ。
ポリフェノールは緑茶にも多く含まれるが、石川県中島町で金沢大学の研究の一貫で行われた「なかじまプロジェクト」で、5年間緑茶を1日1杯以上飲む群とそうでない群との追跡調査を行ったところ、緑茶を飲んでいる群は認知機能の低下リスクがそうでない群の1/3も少なかったことが報告されている。
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