浸すだけで食肉・魚介類が柔らかく
肉や魚の食感を柔らかくしたり、噛み切りやすくしたりするために、食品添加物の中でも軟化剤がよく用いられる。
そんな軟化剤の新たな選択肢として、キウイフルーツ由来のKFPE(キウイフルツーツパウダーエクストラクト)に注目が集まっている。
KFPEとは、タンパク質分解酵素「アクチニジン」を豊富に含む果汁由来の食肉・魚介類軟化剤のことで、浸漬する(浸す)だけの簡単なオペレーションで食肉・魚介類を柔らかくする。
肉や魚を柔らかくする従来の添加物には「PH調整剤」「増粘多糖類・リン酸塩」「タンパク質分解酵素(パパイン酵素など)」の3種類がある。「PH調整剤」は肉や魚のタンパク質内に入り込み、タンパク質繊維を切断することで軟化作用が得られる。しかし柔らかくなり過ぎてしまうことや、適度な食感までもが失われてしまうというデメリットもある。
従来の添加物とは全く違う作用で肉や魚を軟化
「増粘多糖類・リン酸塩」は、肉やタンパク質内に水分と一緒に入り込み、タンパク質を膨張させることで柔らかさが得られる。しかし食品中の水分量が増加するため、肉が水っぽくなったり衛生管理が厳しくなるというデメリットも生じる。
「タンパク質分解酵素(パパインなど)」は酵素のパワーによって肉や魚のタンパク質を破壊することで軟化硬化が得られるが、破壊力が強いため、型くずれの問題が生じやすい。
長時間処理を施すと、肉や魚が融解することもある。しかしKFPEはこれら従来の添加物とはまったく違う作用で肉や魚を軟化させることができという。
KFPE、「低温活性」など4つの特徴
KFPEの特徴は主に4つ。「特定のタンパク質のみを切断できる」「低温で活性する」「限定的酵素反応を持つ」「シンプルな使用方法」である。
具体的に、KFPEはH7付近の結合組織のみを切断する。これにより肉や魚の形を崩すことなく適度な硬さと元の形を維持したまま必要な柔らかさに仕上げることができる。
また低温(2℃〜)活性するため、流通温度として定められている4℃を十分にカバーし、微生物の発生リスクが非常に少ないというメリットがある。
自然な柔らかさを保つ
さらに「筋原繊維」のみを特異的に分解するため、酵素の過剰反応や食感ロスを起こすこともほとんどない。それを「浸漬する」という非常に簡単な方法で実現させる。
浸漬時間は1時間〜24時間と幅広く、これはKFPEの添加量(どれだけ軟化させたいか)によって調節が可能。
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