花粉症の緩和作用で注目
和歌山県北山村の特産品である柑橘のじゃばらに、花粉症の緩和作用があるのではないかと注目されている。その作用機序や花粉症の現状について大阪薬科大学教授 谷口 雅彦博士が解説を行った。
2008年の調査によると、国民の30%が花粉症に悩まされているといわれる。その後も年々増加傾向にあり、今や花粉症は国民病になりつつある。
花粉症は冬の終わりから春先にかけて起こるイメージが強いが、スギ花粉やヒノキだけでなく、イネ、ブタクサ、ヨモギ、ハンノキなどアレルゲンとなる花粉は一年中飛散しており、年間を通して花粉症に悩まされている人も少なくない。
抗ヒスタミン剤、頭がぼんやりするなどの作用
花粉症はアレルギー疾患の一つである。アレルギー疾患には4つのタイプがあり、花粉症はT型アレルギー(即時性)に分類される。
T型アレルギーは花粉以外に、食物アレルギー、ハウスダスト、化粧品などがアレルゲンとなって引き起こされる。
T型の発症メカニズムは、体に入って来た異物を体外に排出させようとする免疫反応が過剰に起こることにある。
花粉症は、原因である抗原=花粉が体内に侵入し、体内で抗体が作られ、次に同じ抗原が体に入ると、先に作られた抗体に抗原が結合し、細胞(肥満細胞)からアレルギーを引き起こすヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が放出される。
このヒスタミンが信号となりくしゃみや鼻水等のアレルギー症状を引き起こす。そこで、こうした症状を緩和させるために用いられる医薬品が「抗ヒスタミン剤」である。
しかしこれを使用すると眠くなる、集中力が途切れる、頭がぼんやりするといった副作用が起こるため、薬を使用せずに乗り切ろうとする人も少なくない。
フラボノイドのナリルチンが多く含まれる
じゃばらはさまざまな研究から、花粉症の症状軽減に役立つことが証明されている。しかも副作用もないという。
じゃばらにはフラボノイド成分の「ナリルチン」が非常に多く含まれている。このナリルチンは他の柑橘類にも含くまれているが、じゃばらは、だいだい、ゆず、すだち、温州みかん、グレープフルーツ、伊予柑などと比較してもはるかに多いという。
体内に侵入した花粉などの抗原によりヒスタミンやロイコトリエンといった化学伝達物質が放出されることで、くしゃみや鼻水、涙目が発症する。
・
・