これを逆手に取り、食塩に糖アルコールを添加したところ、食塩単体を摂取するよりも糖アルコールを添加した食塩のほうが、塩味が増強するという試験結果が得られたという。
また減塩のために食塩の代用品としてよく利用される「塩化カリウム」にも糖アルコールを添加すると、塩味が増強するだけでなく塩化カリウム独特の苦みを低減させるマスキング作用がみられ、糖アルコールには苦味のマスキング効果があることが解明されたという。
25%の減塩に成功
糖アルコールは砂糖と比べて甘味がシャープである。口の中に入れた瞬間、砂糖はゆっくり甘味が広がり、口の中で持続する時間が長く、緩やかに甘味は消えていく。
これに対し、糖アルコールは入れた瞬間に甘味が口の中で立ち上がり、甘味の持続性が短くさっと甘味が消えていく。
つまり砂糖の甘味はまろやか、糖アルコールはシャープと表現することができる。これが減塩に役立つ。塩味が口の中でぐっと立ち上がる前にそれを超えない程度に糖アルコールの甘味が立ち上がり、口の中で塩味が消えていく前に糖アルコールの甘味がすっとシャープに消えていく。
そのため、甘味を感じさせることなく塩味だけが増強したと感じる。実際、この作用を利用して、フライドポテトや浅漬けを作ったところ、25%もの減塩に成功したという。
さまざまな付加価値をつけた新たな減塩食品を開発
糖アルコール以外の減塩に役立つ競合製品と比較しても糖アルコールは実に優れているという。例えば酵母やアミノ酸は旨味成分を含むため使用範囲が限定される。
また食品の色を変えてしまうこともデメリットになりやすい。食塩の代用品としてよく知られる塩化カリウムは、苦味が強いためマスキング処理が必須となる。
しかし糖アルコールは独自のシャープな甘味の性質により塩味を増強させるだけで、食品の味を一切変えないため汎用性が広い。
しかも糖アルコールが本来持っている「低カロリー、高い安定性、虫歯のなりにくさ、血糖値やインスリンに影響しない」といった、さまざまな付加価値をつけて新たな減塩食品を開発できるというメリットもある。
「減塩」は一般家庭においても食品メーカーにおいても重要な課題の一つだが、そこに糖アルコールという選択肢が加わることで幅広く役立てば、とまとめた。
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