理想の作物、交配では10年ほどかかる
遺伝子組み換え作物が、日本に入ってきて10年以上が経過する。遺伝子組み換え作物は、急増する世界人口や気候変動に対応するための持続可能な農業生産の取り組みで、効率的な品種改良で食や農業問題に貢献すると小松氏。
様々な環境や付加価値の高い新品種を作ることを「育種」という。現状は遺伝子組み換えによる育種が多いという。
そもそも遺伝子を書き換えるとはどういうことか。自然界に存在する野生の作物は食べづらいものや栽培が難しいものが多い。これを食べやすく育てやすい性質に変える必要がある。
人工的に操作しなくても気候や自然放射線などの影響で作物の遺伝子が書き変わる(自然突然変異)ことも少なくない。
一方で、生産者や消費者の要望に応じて遺伝子を書き換えることもできる。しかしながら、交配による品種改良では大変な時間とコストがかかる。
例えば、味や形、さらに病気に強いトマトを交配で作るには、数万回の交配の繰り返しが必要で10年ほどかかる。
自然界の交配では得られない作物
つまり交配だと、いろいろな性質を受け継ぐため、目的とする作物がなかなか出来ない。こうしたことから「遺伝子組み換え技術」が生まれた。これは自然界の交配では得られない作物の生産技術である。
あらゆる生物において、その遺伝子やDNA構造は共通性が高い。そのため、理論的には相互の遺伝子を組み替えることができる、ということがベースにある。例えば、小麦の遺伝子をコメに組み替えることもでき、交配では作れないものができるというメリットがある。
遺伝子組み換えで期待されていることは以下のようなこと。
1、病気に強い作物を作ることで収穫量を一定に確保し食糧危機の解決につながる。
2、温暖化や乾燥化(砂漠化)、突発的冷害などの環境変化に対応できる作物を作ることで食糧の確保につながる。
3、栄養価や機能性成分を高めた作物を作ることで健康増進につながる。
4、組み替えの飼料を作ることで国内飼料の自給率の向上や休耕田の有効活用につながる。
5、汚染物質の除去に役立つ組み替え作物を作ることで環境修復に役立つ。
6、バイオ燃料の開発につながる。
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