機能性表示食品制度がスタートし1年が経過
昨年6月より機能性表示食品制度がスタートし1年が経過する。この制度により、食品で効果・効能を表示できるものは「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つとなった。
施行より1年が経過して機能性表示食品の認知度は高まってきてはいるが、まだまだトクホには追いついていない、というのが消費者庁の認識だという。
そもそも機能性表示制度は、既存の2つの制度の課題をカバーすべく誕生した。その課題とは「栄養機能食品」では栄養成分が非常に限定されていること。
また「トクホ」では有効性や安全性に関わるヒト試験や許可までのコストが莫大で中小事業者にハードルが高過ぎるということがあった。
この2つを解消すべく機能性表示制度が誕生したが、現状これらの課題はクリアしつつある、と内藤氏。
300件を超える届出
制度施行から1年、2016年5月31日時点の機能性表示食品の届出状況は、公表件数で既に308件に達している。内訳はサプリメント形状の加工食品が145件、その他加工食品が160件、生鮮食品が3件。届け出の所在地では東京、大阪、愛知の3都道府県で204件を占めている。
機能性表示制度によって新たに表示可能となったものとしては、「内臓脂肪をはじめとし体脂肪を減らす機能がある」「便通を改善し、腸内環境を整える機能がある」「血圧低下作用があり、血圧が高めの方に適した機能がある」「手元のピント調整機能を助ける機能がある」「肌の潤いに役立つ機能がある」「丈夫な骨を維持する機能がある」「膝関節の曲げ伸ばしを助ける機能がある」など。
これにより、これまで表示できなかった効果・効能が明確に示され、消費者の選択肢の幅や訴求効果が高まっている。
現在、事業者が消費者庁に「機能性表示」の届け出を行うにあたり、多くはスムーズに受理されているが、中には基本的な書類の抜け漏れやミス、不適切な表示で認められなかったりするケースもあるという。
明らかに疾病の予防に当たる表現はNG
不適切な表示例としては、明らかに疾病の予防に当たるもの。例えば「動脈硬化を防ぐ」「骨粗鬆症を予防する」「インフルエンザを予防する」といったものは認められない。他にも「血液をサラサラにする」「低下した肝機能を改善する」といった暗示表現も禁止されているため注意が必要である。
他にも「健康の維持と増進を超えたもの」、例えば「皮膚、爪、髪が丈夫で美しくなる」「朝食べれば夕食までの摂取カロリーを抑える」といった表現も認められない。もちろん、科学的根拠に基づかない機能性の説明もNGである。
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