食物アレルギー児の緊急時対応
〜第65回日本アレルギー学会学術大会


2016年6月19日(日)、東京国際フォーラムで、「第65 回 日本アレルギー学会学術大会 市民公開講座」が開催された。この中から、 古川真弓氏(東京都立小児総合医療センター アレルギー科)の講演「食物アレルギー児の入学準備と緊急時対応」を取り上げる。


学童期以降、アレルギーは減少

アレルギーを持つ乳幼児が増えている。一般的にアレルギーは治りにくいと思われているが、乳児期は5〜10%の割合で食物アレルギーを持っており、3歳くらいから徐々に減少し、学童期以降(5歳以降)になると1.5〜3%にまで減少することが報告されている。

乳幼児期に発症した食物アレルギーの多くは、成長とともに治癒することが期待できるが、入園・入学など新しい環境がはじまるタイミングはアレルギー児の保護者にとって一層不安な時期となる。

アレルギー児が学校生活を安全に送るためにはどのような取り組みが必要なのか。

入学の1〜2年前からの準備が必要

給食がはじまる小学校に入学するタイミングでアレルギー児の保護者の対策として、小学校入学の半年前から対策をはじめるのでは遅く、入学の1〜2年前からの準備が必要、と古川氏。医療者、学校、保護者の3者間でアレルギー児を守るためにどんな対策をすべきか、5つのポイントを解説した。

まず第一に、これまでの経過と現在の状況について整理すること。どの食べ物でいつ頃どのようなアレルギー症状が発生したかを学校に具体的に報告できるようまとめておく必要がある。

また現在も同じような状況なのか、あるいは少しくらいなら摂取しても問題がないレベルなのか、医師からはどのような指示を受けているのかなど細かく現状を報告できるようにしておく。

さらに、保護者だけの判断でなく、かかりつけ医の客観的な視点で現状と今後の見通しが報告できるようにしておく必要があるという。

豆まきなどの学校の行事に対処

2つ目が、保護者は豆まきなどの学校の方針や対応に関する情報収集を行っておくこと。給食などについて、どのレベルでアレルギー対応をしてくれるのか、お弁当対応のほうが良いのかなど調べておくこと。

豆まきなどのイベントはどう対応すればいいのか。アレルギー症状が起こりうる場面でどういった対応がなされるのかなどできる限りの情報を収集する。

3つ目に、医師に緊急時の対応について確認しておくこと。内服薬やエピペン(アドレナリン自己注射製剤)を携帯する必要があれば携帯させる。エピペンについては保護者がその使用方法を先生に説明できるレベルにしておくことが望ましいという。

4つ目に、良好な関係性の構築。学校側と保護者の双方で、子どもを守れるようお互いが歩み寄って協力できるようにコミュニケーションを上手にとること。

5つ目に、学校で症状が出たときに先生やお友達にどう伝えるか、お友達とお菓子を交換するような場面でどう対応するか、といったことを事前に家庭で教育しておく必要がある。

エピレンの緊急時の使用など日頃から留意

食物アレルギーは気をつけていても、思いがけないことがきっかけで症状が起こることがある。ランドセルやカバンなどの目立つところに「食物アレルギーサインプレート」を貼ったり、「緊急時対応カード」を作成し子どもに携帯させることも必要。

こうした準備を入学の1〜2年前から行っておくことで、入学前年の11月頃に行われる入学説明会の場面では、保護者は学校に子どもの状況を正確に伝えられるはずである。

エピレンについては緊急時に使えるように日頃から保管場所や使用期限の確認なども行う必要がある。いざという時に正しく使えるようにすることが大切、と古川氏はまとめた。


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