食塩の過剰摂取は生活習慣病の一因
食塩は味付けだけでなく、野菜を脱水させたり浸透させたりする作用、肉や魚のタンパク質に働きかけ身を引き締める作用などあり、食感へ果たす役割が大きく、調理には欠かせない調味料である。
しかし食塩の過剰摂取が健康に与える影響については問題視されており、とくに日本人は塩分摂取量が多いため、いかにおいしく減塩するかが食の課題の一つになっている。
現在、厚生労働省は1日の食塩の摂取目標量を男性8g、女性7gと定めている。しかし、これを守っている人は多いといえない。
食塩の過剰摂取は増え続ける生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)の一因にもなっている。そのため、一人ひとりが意識して減塩に取り組む必要がある。
にがり成分を多く含んだ食塩に着目
近年、さまざまな減塩法が推奨されているが、うまくいかない人や続けられない人が多い。これは減塩することで味付けが物足りなく感じるためである。しかし、実は味だけでなく食感にも物足りなさが生まれることはほとんど指摘されていない。
ほとんどの減塩法が味付けを損なうか、食塩以外のものを代用する方法が多く、食塩によって獲得される食感をカバーする方法はほとんどない。
しかし食品の味だけでなく食感を損ねない減塩調理法について検討する必要がある。それが達成できてこそ減塩が続けられる。
そこでにがり成分を多く含んだ食塩で味と食感の両方を損なわない減塩調理ができないか石川氏は着目し研究したという。
にがり成分に含まれるマグネシウムイオンやカルシウムイオンは、通常の食塩の脱水浸透作用とは異なるメカニズムを持つといわれているからだ。
にがり含有塩は引き締まってぱりっとした食感
にがりとは、ナトリウムを取り出した後のマグネシウムやカルシウムが濃縮したもので、主成分は塩化マグネシウムである。このにがりをほどよく残した塩は「まろみ」や「こく」があるとされている。
このにがりを含んだ食塩を使用することで家庭調理で簡単に減塩を実現できないか、以下のような実験を行ったという。
・
・