「食品&医薬品相互作用データベース」を構築
昨年4月よりスタートした機能性表示食品制度により、新たな健食市場が順調に売上を伸ばしている。しかしながら、健康食品に含まれる機能性成分と医薬品の相互作用について、消費者が十分理解しているとはいい難い。
城西大学では「食品&医薬品相互作用データベース」を構築、これにはインターネットで誰でもアクセスできるようになっている。
データベースは当初、医師や専門家が閲覧することを目的に作成した。しかし、ここ数年は一般消費者からのアクセス数も増えたため、より使いやすいものにバージョンアップした。
消費者が健康食品と医薬品にどのような相互作用があるかをきちんと理解したうえで、健康食品を上手に利用できるよう役立てて欲しいと考えているという。
機能性表示食品と薬品の相互作用
とくに機能性表示食品においては安全性の担保のため、医薬品との相互作用の有無について企業が評価した上で、商品に明記する義務がある。
しかし消費者庁は消費者に対し、「パッケージに表示してある注意喚起をよく確認して、摂取するようにしましょう。パッケージには一日当たりの摂取目安量、摂取の方法、摂取する上での注意事項が表示されていますので、よく読みましょう」と喚起しているだけで、医薬品との相互作用に注意しましょうと具体的に指導をしているわけではない。
そのため、機能性表示食品と薬品に相互作用があると想像し、機能性表示食品を利用する人はほとんどいない。もちろんこれはすべての健康食品についてもいえる。
薬で起こる相互作用と同レベルで考える必要がある
消費者はこうした医薬品との相互作用情報をどこで入手すれば良いのか。そもそも食品と医薬品で起こる相互作用を考えることは容易ではない。
しかし食品と医薬品の相互作用について、「薬×薬相互作用(薬と薬で起こる相互作用)」と同じレベルで考える必要があろう。
ちなみに薬品の場合は体内に取り込まれた後(消化管、粘膜、筋肉、直腸などから)、「吸収」「分布」「代謝」「排泄」という4つの過程のなかで、体内でおこるさまざまな変化や影響を受けながら、摂取した薬品がどのように変化するかを鑑みながら相互作用について綿密に分析研究されている。
医薬品の吸収過程における相互作用
食品と医薬品の相互作用については細かく分類され研究されている。例えば、医薬品の吸収過程における相互作用。抗菌剤の「シプロフロキサシン(抗菌剤)」はミルクや乳製品に含まれるCa2+の影響を受け、吸収が低下し薬効も減弱する。
「フルフェナジン(抗精神病薬)」は紅茶やコーヒーに含まれるタンニンの影響を受けると薬効が減弱する。この他、繊維質によって生体利用率が低下し薬効が減弱する薬品は多い。
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