食塩と胃がんの関係、女性には有意な違いが見られない
これらの知見の中で「食塩(ナトリウム)と胃がん」について、男性において食塩摂取量が多いほど胃がんリスクが高まることもわかっている。
しかしながら、女性には有意な違いが見られず、これがなぜなのかは説明がつかないと笹月氏。
また、「大腸がんと野菜」といった野菜摂取でがんが予防できそうなイメージを持たれている。しかし、野菜を摂るほどリスクが低下するといった調査結果は得られていない。ただ、極端に食べない人にのみリスクが高まる傾向が認められたという。
WHO(世界保健機構)も2003年に「食物・栄養要因とがんとの関連」として「リスク要因」と「抑制要因」を「確実」「可能性大」「可能性あり」というレベルに分類している。
しかし、「確実」に「抑制要因」と分類されているものに食品は一つもなく「運動」の方が「確実」の項目に分類されているという。
ちなみに「可能性大」のものとしては「果物・野菜」が入っており、「可能性あり」のものにようやく「食物繊維、大豆、魚のN-3系脂肪酸、カロテノイド、ビタミンB2、B6、葉酸、ビタミンB12、C、D、E、カルシウム、亜鉛、セレン、非栄養性植物機能成分(フラボノイド)が挙げられているという。
食べ過ぎ、食べなさ過ぎが問題
また、2007年に「世界がん研究基金による10項目のがん予防指針」が発表されているが、そこでも特定の食品を一定量摂取するように、といった指針はない。
しかし、「高カロリーの食品を控えめにし、糖分を加えた飲料を避けること」「肉類(鶏肉は除く)を控えめにし、加工肉を避ける」「アルコールは適量」「塩分の多い食品は控え目に」「いろいろな穀類、豆類を摂り、野菜と果物は1日400g以上摂る」といったことが推奨されているという。
コホート研究においても、WHOなどの取りまとめにしても、これを食べれば安心とか、これを食べると危険という食品はなく、あくまで食べ過ぎ、食べなさ過ぎが問題であることを頭に入れ、バランスの摂れた食生活をすることが望ましいと笹月氏はまとめた。
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