景表法の取り締まりが厳しくなっている
基本的に健康食品とそれ以外の商品ではマーケティングやプロモーションの手法が大きく異なる。
健康食品の販売で、最も重要なことは法的側面を考えながらのマーケティングと中澤氏。
それ以外の商品は、キャッチコピーなど魅力的なものを使い宣伝やプロモーションができる。
しかし、健康食品については常に薬事法と景表法を頭に入れ、慎重かつ緻密に販促方法を考えなければならない。
健康食品の販売で、多くの企業が薬事法に重きを置く傾向が強かった。しかし、ここ数年は景表法による取り締まりが厳しくなっており、その流れが昨年の機能性表示食品制度につながっている、と中澤氏はいう。
健康食品市場、通販が60〜70%
薬事法は健康食品(や周辺商品)を医薬品的に宣伝することを罰する法律である。また景表法は不当広告や虚偽広告を取り締まる法律で、健康食品についても適用されやすい法律の1つである。
しかしきちんとしたエビデンスがあれば景表法で引っかかることはほとんどなく、それが今の機能性表示食品制度誕生のきっかけになったといえる、と中澤氏は解説。
健康食品の市場規模は1兆5千億〜2億円ともいわれる。チャンネル比は通販が60〜70%、店頭が30〜40%で、通販が主軸となっている。
ネットが普及するようになって健康食品の店販は力を失い、昨年機能性表示表示制度がスタートしたが、それでもまだ通販を追い越すような勢いはないのが現状である。
工夫次第で状況が好転する可能性も
その原因もやはり薬事法や景表法に対する萎縮が否めない。しかし、それ以上にドラッグストアなどの取扱店において「売れているものしか売らない」「アピールできないものはアピールしない」というスタンスがあるからではないか、と中澤氏。
また効果を謳えない、商品の特性をアピールできない以上、商品を売るためにはブランディングが必要となり、安全性、天然素材、日本初、芸能人が利用といったような外付けの意味づけをする必要もあった。
機能性表示食品制度がスタートして1年以上になるが、店販が盛り上がらない現状は依然続いている。とはいえ機能性表示食品の前後で状況は一変し、工夫次第で状況は好転する可能性が十分あると中澤氏はいう。
店販が通販を抜く可能性も
健康食品にヘルスクレーム(効果効能)を表示できるようになった制度、これをどの国より先駆けて行ったのが日本の特定保健用食品制度(トクホ)である。
これは1991年のことで、この考え方は他の先進国にも飛び火した。1994年にアメリカでスタートしたダイエタリーサプリメント法は機能性表示食品の制度の見本となったが、この制度がどのように展開したかを追うことが、機能性表示制度の今後を予測する上で非常に役立つと中澤氏はいう。
日本の健康食品市場は通販が主要チャネルだが、米国もダイエタリーサプリメント制度がスタートする前はほぼ同じ状況であった。
しかし制度が始まり、あっという間に状況が逆転。さらに、健康食品市場も年間5兆円規模にまで増大した。
日本の機能性表示食品制度とダイエタリーサプリメント制度は非常によく似ている。
そのため、日本もアメリカと同じような展開ができれば、健康食品市場は今後売上げをさらに伸ばし、店販が通販を抜くことも十分あり得る、と中澤氏はいう。
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