コラーゲンは有用というのが最新の知見
私たちの体の約16%がたんぱく質だが、うち1/3はコラーゲンである。つまりコラーゲンは体を構成する重要な成分である。
「コラーゲンを摂取してもアミノ酸に分解されるから意味がない」ともいわれている。
しかし、これまでの研究からコラーゲンを摂取すると、確かにコラーゲンは胃や腸で分解されるが、その後コラーゲン特有のペプチドになり、そのペプチドはわずか30分後には血中に移行し、さらに皮膚にも到達する。
そのペプチドがコラーゲンを作る細胞に作用し、コラーゲンやヒアルロン酸の合成を高めることがわかってきている、と野村氏。つまりコラーゲンを摂っても意味がないということはない、というのが最新の知見であるという。
医薬品ではコラーゲンを増やせない
またコラーゲンについて、豚や鶏由来など原料にもいろいろあるが、原料によって効果に差がないこともわかりつつある。ただし、植物性コラーゲンではなく、動物由来のコラーゲンであることが前提、と野村氏。
サプリメントや健康食品素材としてだけでなく、薬のカプセルやフランクフルトの皮、フィルムなどにもコラーゲンは幅広く利用されている。
また、体内では皮膚にだけ存在するのではなく、筋肉や骨、角膜にも存在するため、コラーゲンは女性の美容だけでなく健康維持、生活維持に不可欠な成分であるといえる。
問題は、体のあらゆるところに存在するコラーゲンは加齢と共に低下、また医薬品ではコラーゲンを増やすことができないということ、と野村氏。
「効果を体感」できる人が多い
コラーゲンの効果効能を体感するためには「1日5g」が摂取目安量とされる。コラーゲン5gというと「さんま丸ごとを17本」「シャケ丸ごとを2切れ半」「鶏ガラスープ1.2リットル」に換算される。つまり、容易に摂取することは難しい。
しかしコラーゲンを摂取することで「効果を体感」できると答える人は多く、少量でも継続してできるだけコラーゲンを摂取するのが望ましい、と野村氏。
ではコラーゲンを摂取するとどのような効果が得られるのか。マウス実験でもやはり皮膚の弾力回復、老化防止、髪の毛や爪の強化、変形性ひざ関節症の痛みの緩和などがあげられる。
魚食が減り、コラーゲン摂取量が低下傾向に
コラーゲンはペプチドに分解されてもペプチドのまま血中や皮膚中に現れ、そこがコラーゲンやヒアルロン酸の合成を刺激し、細胞を活性することが動物実験で明らかとなっている。
日本人のコラーゲン摂取量は低下傾向にあるが、これは魚食が減っていることと関係している。「しらす干し」は安くてコラーゲンも豊富に含まれているため、手軽にコラーゲンを摂れるオススメ食材のひとつであると野村氏。
また、サプリメントなどで補うのもいい。過剰摂取については、あらゆるタンパク質がそうであるように、膨満感と下痢が起こる。しかし食品からの摂取であれば過剰摂取の心配はない。まずは食品からコラーゲンを意識的に摂取してみてはどうか、とまとめた。
コラーゲン、積極的に摂るべき成分
また、赤松 浩彦氏(藤田保健衛生大学 医学部 教授)は「コラーゲン摂取でいつまでも健康で若々しい体を」と題して講演。
赤松氏は皮膚科医の立場から「コラーゲンは積極的に摂るべき成分だ」と考えているという。自身も加齢とともに気になりはじめた「爪のトラブル(割れる、薄くなる)」を改善できないか、と、コラーゲンの摂取をはじめたそうだが、爪の問題だけでなく、全身に良い効果を感じているという。
コラーゲンを摂取することで、肌や爪に効果が現れるのはなぜか。例えば、皮膚では、摂取したコラーゲンがそのままコラーゲンになるのではなく、コラーゲンやヒアルロン酸の合成を刺激したり細胞を活性したりする。
結果、肌のコラーゲン量が増える、というメカニズムが明らかになりつつあるが、もっと重要なこともわかってきている。
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