機能性成分が多い品種の開発に注力
農研機構では機能性食品開発プロジェクトとしてさまざまな機能性農作物素材を研究開発している。特に品種改良では、機能性成分が多い品種の開発に力を入れているという。
具体的にはケルセチンが通常の2倍以上含まれている玉ねぎの「クエルゴールド」やβグルカンが豊富な大麦「きらりもち」、メチル化カテキンが豊富な緑茶「べにふうき」などはすでに知名度も高く主力農作物だという。
こうした機能性農作物の研究育成は日本全国14の拠点で中心に行われている。
11品目のエビデンスを取得
健康に貢献する食品開発を行うために農研が行っているのは品種改良だけではない。
機能性成分のデータベースの構築や、栄養指導のシステム開発、テイラーメイドな提供システムの構築などにも予算を回す必要があるとしている。
中でも食品素材の臨床試験は1素材につき1億円以上かかる。そのため、20億円という限られた予算内ですべての食品の介入試験を行うのは難しい。現在は11品目のみでエビデンスの取得とデータベースの公開を行っている、という。
βグルカン高含有大麦、内蔵脂肪が低下
その11品目の幾つかを紹介。いずれもヒト介入試験が行われている。
βグルカン高含有大麦「きらりもち」を白米に混ぜて3ヶ月食べると(βグルカン2g/日)、含まないものに比べて内蔵脂肪面積が有意に低下したことが認められ、βグルカン含有粉のパンや麺に使用できる加工法も開発できているという。
白米と同様に炊ける「表面加工玄米」については、玄米と同じ栄養や機能性成分を含みながらも、玄米より吸水に優れ白米モードで炊飯できる玄米で、こちらは1日150gを3ヶ月連続摂取で体重、腹囲、中性脂肪が低下したことが報告されているが、βグルカンの方が効果的であった。
βクリプトキサンチン高含有かんきつ、骨粗鬆症発祥リスクが低下
βコングリシニン高含有の大豆「ななほまれ」は1日に5g摂取を3か月連続摂取で食後の中性脂肪上昇が有意に低下。
豆腐には加工できない大豆だが、豆乳や大豆フレークとしては加工できるという。ケルセチンが高含有の「クエルゴールド」は乾燥玉ねぎにして味噌汁に入れることで1日50gを6か月連続摂取で、ヒトでの認知機能改善効果が認められている。
βクリプトキサンチン高含有かんきつは10年間のコホート研究で、シーズンに毎日3〜4個食べているヒトは「骨粗鬆症、メタボリックシンドローム、非アルコール性の肝機能低下、2型糖尿病、動脈硬化」の発症リスクが有意に低いことが報告されている。
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