かたちを変えて働く塩の用途が大半
塩の用途は大きく3つに分類することができる。「食用として働く塩」「性質を利用してはたらく塩」「かたちを変えて働く塩」の3つ。「食用」としては味付け、発酵の手助け、グルテンの形成、防腐剤の役割などが主なところ。
しかし「性質を利用して働く塩」と「かたちを変えて働く塩」も非常に重要で、ぜひ知って欲しい、と清水氏はいう。
実際、塩の全量からそれぞれの用途でどのくらい使用されているかを調べると「かたちを変えて働く塩」が全体の3/4を占め、残りの1/4をちょうど二分する形で「食用として働く塩」「性質を利用してはたらく塩」の利用となっている。
生活のあらゆるものに塩素が使用
「かたちを変えて働く塩」とは別名「ソーダ工業用」であり、平成27年度の国内の消費量は584万トン。ソーダ工業とは輸入の天日塩が加工されたもので、その後に「電解ソーダ工業」と「ソーダ灰工業」に分類される。
さらに電解ソーダは水を加えることで電気分解が起こり「塩素」「水素」にかたちを変える。
塩素だけでも用途は多岐にわたる。自動車部品や接着剤といった、一見それが含まれているとは想像もできないようなところでも使用されている。身近なところでは「水道水」「漂白剤」や「プールの殺菌剤」など。
他にも医薬品、洗剤、石鹸、塗料、香料、防虫剤、衣類、防音材、インキ、家具、プラスチックなど、私たちの生活を支えるあらゆるものに塩素が使用されており、塩素に関わらずには生きていくことができないといわれるほどである。
塩が日本の基幹産業を支えている
2015年のソーダ工業総生産額は国内だけで3.321億円に達し、2次・3次利用や製品まで含めるとさらに膨大な金額になる。安価で大量に生産され、安定供給が可能な塩は日本の基幹産業を支えているといえる、と清水氏。
食用以外のもう一つの用途が「性質を利用してはたらく塩」。具体的には「融氷雪用」「軟水化用」「塩水選」「塩ストレス」「鉱塩」などがある。
常温で26%程度の非常に濃い食塩水はマイナス21度でも凍らないという特徴がある。
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