そのためモリンにも同様の効果があるのではないか、と「モリンのサルコペニア予防作用」の研究がはじまったという。
マウスによる試験では、肺がんモデルのマウスにモリンを投与したところ重量減少への抵抗性を示した。
特に筋肉の中でも「速筋(瞬発力にすぐれた筋肉)」の萎縮に対する抵抗性が見られた、と二川氏。
また同様に、線虫でも試験を行った。線虫は30度といった厳しい条件で飼育すると早期に筋萎縮が起こり老化現象が生じる。
そのため、早期老化モデル線虫にもモリンを投与したところ、マウス同様に筋細胞の分解抑制作用が見られたという。
いずれもヒト試験ではないが、がんや老化による筋萎縮をモリンが抑制することを示している。
エビデンスが揃えば実用化も可能
この研究で用いたワカメは普段破棄されているものであり、根底には廃棄物を活用する、という狙いもある。
そのため、コストパフォーマンスに優れているだけでなく、エビデンスが揃えば実用化も早々に可能であろう、と二川氏。
しかも廃棄ワカメからがんによるサルコペニアにも有効な成分が抽出できる、となれば健康科学や医学、薬学の分野にも大きなインパクトを与えることになる。
ただし、医薬品にするには事前のコストや時間がかかりすぎる。
また医薬品になった途端廃棄物であったワカメでさえ高値になることは十分考えられ、健康食品としての開発がいいのか、機能性表食品としての展開がいいのか、展開の仕方についても十分に検討する必要があるとした。
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