減少し続ける桑畑
桑は日本では古くから蚕の餌として栽培され、養蚕によって日本の質の高い絹糸が盛んに生産されてきた歴史がある。
製糸業の発展に大きく貢献し、明治以降は国内の織物産業にとどまらず、世界各国にも重宝され輸出産業にも大きく貢献した。
特に明治期の産業としては主要なものであり、群馬県を中心に当時は桑畑が拡大傾向にあった。
しかし化学繊維が安価かつ大量に出回るようになったり、第二次世界大戦などがあったことから、養蚕業は縮小の一途を辿り、現在桑畑は減少し続けている、と亀井氏。
桑の葉、お茶として親しまれてきた
平成20年の農林水産省の発表によると、桑園の面積は桑畑最盛期の昭和5年当時と比べ、約1/350まで縮小しているという。
しかも、その桑畑が養蚕業に利用されているのは、全面積の約50%にも満たないという。
そもそも蚕の餌として使用される以前から、桑の葉はお茶として日本人には親しまれてきた歴史がある、と亀井氏。
すでに鎌倉時代から健康茶として親しまれていたという記録も残っており、臨済宗の栄西が記した「喫茶養生記」という書物には桑の葉の効果・効能について記されているという。
脂質代謝改善作用や抗炎症作用
亀井氏の所属するチームは、この桑の葉の機能性に着目し、機能性評価を行った。
主にマウスを使った動物実験では、桑葉を摂食させた後、肝臓の遺伝子発現を解析した。
その結果、脂質代謝改善作用や抗炎症作用、酸化ストレス抑制作用などがあり、それらのメカニズムを、国際ジャーナルにも発表してきた。
また、これらの基礎研究を元に、ヒトにも同様、あるいは異なる機能性を示す可能性がないかを研究する方法を模索したという。
ただ、食品評価、特にヒトに対して同等であるかを評価することは非常に難しいという。
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