ポリフェノール、「体脂肪の低減」や「血圧の低下」
植物性食品に含まれるポリフェノール類は健食ブームの現在、機能性成分として最も注目されているものの一つである。
さまざまな健康食品や機能性表示食品から摂取でき、その作用は多岐に及ぶ、と越阪部氏。
国内外で実施されている数々の疫学調査で、「摂取頻度と心血管系疾患リスクの減少」が報告されている。
また、ポリフェノール摂取により、「体脂肪の低減」「血圧の低下」「血管内皮機能の改善」「脂質代謝の改善」「耐糖能の改善」といったメタボリックシンドロームのリスクに多面的な有効性を示すことが確認されている。
ポリフェノール、1000種類以上特定
しかしこの20年近いポリフェノール研究の中で、どのような作用メカニズムでそれらの効果を発揮するのかは明らかとされていない部分も多い。
何よりポリフェノール類は体内に摂取されても生体利用率が極めて低いことも分かっている。
現在、ポリフェノールは1000種類以上が特定されている。
中でも紅茶の渋味であるテアフラビンやりんごやぶどうに含まれるプロシアニジンといったカテキン重合物、ベリー類に含まれるアントシアニンは特に吸収性の悪い「難吸収性ポリフェノール」であるが、生理作用を示すことも報告されている。
なぜこうした優れた生理作用を発揮するのか、そのメカニズムを解明することが求められている、と越阪部氏はいう。
ポリフェノールとの掛け合わせの研究は困難
一般的に、経口摂取された機能性成分(化学物質)は生体に対して何らかの生理学的変化を与える。
そのため、成分本体が消化管で吸収され、循環血流によって標的とする臓器に分布し、標的分子と相互作用することが必要であると考えられている。
しかし難吸収性ポリフェノールはそのほとんどが吸収されない以上、同等のメカニズムが起こることは考え難い。
また吸収されないからこそ消化管でバラバラになり、腸内細菌の働きを高めることは可能性として否定できない。
しかし、人の腸の中には腸内細菌が約1000兆個もあるといわれ、腸内細菌と分解されたポリフェノールとの掛け合わせを研究するのは、天文学的数字になるため特定は極めて困難であろう、と越阪部氏は指摘する。
ポリフェノール、交感神経を刺激
しかし越阪部の所属する研究チームは、最近、難吸収性ポリフェノール類が摂取後わずか2時間で血圧や心拍数を一過的に上昇させ、骨格筋の血流を増大させることを見出したという。
・
・