酒粕に老化抑制作用
酒粕には老化抑制作用や脳機能活性の作用などがあり、健康イメージを強く持つ麹や甘酒と関係が深い。日本人には人気の発酵食品で、他にはない機能性成分を多く持っている、と藤井氏。
酒粕とは米、米麹、水を仕込み、清酒酵母で発酵した「もろみ」を濾して残る固形物のことで、濾してできる液体が清酒になる。
製造法にもよるが「生もとづくり」と呼ばれる製造法の場合は製造過程で乳酸菌も関与するため、ヨーグルトや味噌、話題の塩麹などと同じ発酵食品である。
酒粕は麹より機能性成分が豊富
日本では年間に約4.2万トンの酒粕が作られている。この酒粕には SAM・GPC・葉酸・ポリアミン・アミノ酸といった栄養成分が豊富に含まれているのが特徴。
麹や酵母も機能性成分として知られるが、これらの成分は菌体と一緒に酒粕に移行してしまうものが多い。酒粕は麹より機能性成分が豊富に含まれることはあまり知られていない。
しかも酒粕には酵母や乳酸菌の機能性成分がさらに加わるほか(生もとの場合)、βグルカン等の菌体成分や食物繊維様活性を持つレジスタントプロテインなども追加されるという。
酒粕の機能性成分の中でも、酵母や清酒酵母が SAM(Sadenosylmethionine)を高生産することが1984年に報告されている。
このSAMは海外では処方薬やサプリメントとして幅広く流通している成分で、気分改善作用や抗肝障害作用、抗関節炎作用などが知られている。
酒粕でSAMを摂取
しかしこのSAMは食品からは摂取できない、ともいわれている。とはいえ、清酒酵母がSAMを高生産できるのであれば、酒粕にも多く含まれるのではないかと藤井氏らは着目した。
清酒造工場に協力を仰ぎ酒粕109点を分析したところ、やはりSAMの含有が酒粕100gあたり平均49mg、最大で201mgであることがわかった。
つまり、酒粕は処方薬やサプリメント以外で機能性を示してもいいほどのSAMが摂取できる唯一の食品である可能性が高いことが示された、という。
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