14年の歳月を費して刊行
「健康・機能性食品の基原植物事典」が出来上がるまでになんと14年の歳月が費やされた、と正山氏。
この事典には、厚労省が出している食薬区分リストのうち「非医」、すなわち食品として扱われる植物821品目が網羅されているという。
編纂するにあたり、まず厚労省のリストに載っている植物が「何であるか」を決めることからはじめた。
つまり「基原植物名」をまず先に決定させ、その後日本で正式に植物名として採用されている「和名(カタカナ表記)」、そして学名の順に植物を同定していったという。
さらに学名は1753年にカール・フォン・リンネにより発表された「植物の種」に基づき、「ラテン語での属名」「種名」「命名者名」までを網羅し、「科名」「属名」までを調査し記した。
写真については、できるだけ花や果実も含む全体像がわかるようなものを集めて掲載し、1つの植物について幅広い情報が収集できるように編纂した。
また利用区分についても「食品」「スパイス」「民間薬」「漢方配合生薬」「医薬品」「医薬品原料」「毒草」「乱用薬物」と分類し、より調べやすくなるように配慮した。
植物の二次代謝産物、人の健康にも役立つ物質
また、黒柳 正典氏(静岡県立大学食品栄養科学部 客員教授)は、基原植物の多彩な有機化合物について述べ、
植物は古くから香辛料や香料、食品としてだけでなく疾病治療のために用いられてきたいわゆる「生薬」もあるが、植物には多彩な有機化合物(二次代謝産物)が蓄積されている。
これは植物にのみ見られる特徴であり、この有機化合物が私たちの栄養面だけでなく、健康面にも恩恵を与えることで注目され利用されるようになっている、と解説。
植物が光合成を行いながら移動することなく生存し続けるためには、外部からの攻撃や環境ストレスから自らを守るために二次代謝産物を作る必要がある。
その結果できた物質、中でもポリフェノールやカロテノイドなどは私たちの健康面にも役立つ物質として非常に期待されている。しかし、アルカロイド類など非常に生理活性が強いものもあり、それらは医薬品に使用される物質も多い。
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