より細かな届出が要求される
現在、機能性表示食品の受理件数は700件を突破しており、制度の認知や市場の拡大は順調のように見られている。
しかし、実は昨年11月以降、消費者庁のジャッジが厳しくなっており、11月以降の受理件数は118件と、ペースダウンしているという。
問題は「これまでOKだった(受理された)から」という理由では通用しなくなっていることで、より正確で細かい届出を行わないと何度も出し戻しを繰り返す羽目になるということ。
薬事法ドットコムでは、機能性表示届出関与実績が72商品あるが、この中にはスタートから関与した商品もあれば、何度も出し戻しを繰り返し行き詰まった企業からの依頼もあるという。
新成分の審査が厳しくなっている
機能性表示の魅力の一つに、これまでトクホ商品では記載できなかったヘルスクレームが表示できる可能性が増えたことがある。
例えば、「肌の水分」や「睡眠サポート」といった機能は機能性表示制度がスタートしなければ表記できなかった。
しかし、11月以降はこの新たな機能が追加されておらず、全て先例のあるものばかりになっている。
関与成分としても新たに加わったのは「アスパラガス由来含プロリン-3-アルキルジケトピペラジン(睡眠)」と「パイナップル由来グルコシルセラミド(肌の潤い)」、「グアーガム分解物(食物繊維/血糖値)」の3成分のみ。新しい成分については特に審査が厳しくなっている印象があるという。
認められない領域がより明確に
これはエビデンスの有無にかかわらず、消費者庁の方で「そもそも認めない」領域がより明確になってきていて、しかもその領域が拡大化しているからだという。
例えば、美肌系の「シミ、シワ、くすみ、弾力」などはエビデンスがあってもあくまで美容目的であり、健康増進ではないため認められない領域となっている。また、ダイエット系も同様に認められないのが暗黙の了解となっている。
もちろん「高めの内臓脂肪を減らす」は健康目的であるためOKであり、これまでも認められている。
しかし、一般の中肉中背の人が痩せる、ダイエットする、といったことだと直ちに認められないものになる。
つまり、認められない領域がより明確になり、制度スタート直後よりも許容範囲が狭くなっているというのだ。
エビデンスマーケティングのススメ
機能性表示は直接的な訴求広告ができるが、受理にこだわりすぎて、本来の目的が果たせないのであれば、「届出しない」という選択肢を選ぶのも一つである、という。
例えば、「セサミン」といえば「抗酸化」成分としてすでによく知られている。
しかし「抗酸化」では受理されないので、受理されるために「疲れを感じる人の寝つきや目覚めなどの改善に役立つ」としたら、逆にターゲットが狭まり、セサミンの訴求ポイントがぼやける。それなら「機能性表示は狙わない」のも一つだ、という。
では、機能性表示を狙わない場合、どのような手法が有効なのか。今、薬事法ドットコムが勧めているのが「エビデンスマーケティング」と呼ばれる手法だという。
・
・