日本人の65歳以上の4人に1人、認知症と予備軍
2012年の厚生労働省の調査によると、日本人の65歳以上の4人に1人は認知症とその予備軍と報告されている。
早急な対策が求められるが、認知症の約55%を占めるアルツハイマー型認知症がポリフェノールで遅延できるのではないか、という疫学的知見が多数報告されている。
例えば、ワインをよく飲んだりカレーを食べたり、緑茶などよく飲む人は日頃からポリフェノールを多く摂っている。
金沢大学の研究の一環で行われた「石川県の中島町プロジェクト」で、1日1杯の緑茶を飲んでいるグループは飲んでいないグループと比べ、アルツハイマー型認知症の発症リスクが1/3も低いことが5年間の追跡調査の結果で明らかになっている。
しかしながらポリフェノール類は体内に吸収されにくく、それがどのようなメカニズムでアルツハイマー型認知症を遅延させるのか、そのメカニズムについては不明な点が多い。
ポリフェノールのロスマリン酸、認知症遅延作用
ポリフェノール類の認知症遅延効果については世界各国で研究が進められている。
小林氏らのグループは2009年にモデルマウス試験によるシソ類ハーブに含まれるポリフェノールの一種「ロスマリン酸」に高いアルツハイマー型認知症遅延作用があることから、これをヒトへ応用できないか、軽症度認知症患者の臨床試験を現在行っているという。
しかし臨床試験を行う前に、ロスマリン酸の安全性の検証を行うことが重要で、どのようなプロセスを経て安全性評価を行ったか、また現在実施中の臨床試験の研究の中間報告を行った。
まず、食経験が長く安全性が高いハーブ「レモンバーム」よりロスマリン酸製剤を臨床試験用に開発し、健常人のボランティアを対象にロスマリン酸の体内動態試験を行った。
その時に用いるロスマリン酸の摂取量は、マウスの実験から人の生涯に渡って毎日摂取したとしても影響が出ないと考えられるADI値を概算し150mg/日とした。
その結果、ロスマリン酸は経口摂取後、1時間後に最高血中濃度に達するが、24時間で血中から消失し、ロスマリン酸の安全性が非常に高いことが示唆されたという。
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