またPCR検査ではヒラメを30尾以上も殺す必要があり、検査方法に改善が求められている。
最新の検査方法として簡易診断法が開発され、誰でも簡単に、飲食店の調理場でもチェックできるようになっている。
こうした努力や技術の進歩により、今や養殖のヒラメのほうが天然物のヒラメに比べて、安全といえる状態までになっている。
しかし、日本のヒラメは韓国から輸入されるものも多い。これについては検査体制が不十分で、依然としてクドアが検出され、それが直る気配もない。
他にもメジマグロ(クロマグロの幼魚)に寄生するムツボシクドアのヒトへの毒性が報告されている。
しかしヒラメのクドアと比較すると、生食してから発症するまでの潜伏時間がやや長く、また、発症するにはヒラメのクドアの10倍以上の胞子を摂取する必要があることなど、症状や発症メカニズムに違いがあることも分かっている。
科学的かつ定量的に評価
養殖マグロは飼育経過月数に伴い胞子が急激に減少することや天然マグロは冷凍処理されていることなどから、出荷時にはほとんど問題にならないことも分かっている。
またマグロは産業的な影響が大きいため風評被害が起こらないよう、情報公開にも慎重な姿勢が求められている。
カンパチにもユニカプスラという毒性の疑われる粘液胞子虫の一種が寄生しているが、感染源そのものが分かっていない。
従来は魚の寄生虫でヒトには何の影響もないと思われていた粘液胞子虫がヒトの健康に影響を与える可能性があり、その実例が報告されたり認識されたりするようになっている。
しかし食中毒として発生する度合いを科学的かつ定量的に評価し、消費者を混乱させないようにする必要性がある。
またこれらの寄生虫をいたずらに恐れることなく、適切な検査や対処ができるよう、養殖や調理に関わる人が安全に、最小の負担で処理や検査ができる方法を提案することが重要だとした。
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