時計遺伝子、すべての細胞に存在
私たちの体には体内時計が備わっており、その体内時計には幾つか種類がある。例えば、睡眠と覚醒のリズムを司るウルトラディアンリズム、女性の月経周期を司るサーカルーナリズム、そして1日24時間を刻むサーカディアンリズム。
体内時計は生体に周期変動をもたらし、周期の短いものから長いものまである。
これらの体内時計の中でも、時計遺伝子が発見されたことによりメカニズムが解明されているのはサーカディアンリズムだけである。
近年の大発見は、この時計遺伝子が光刺激を感知する「眼」や朝食刺激を受ける「腸」にあるだけでなく、すべての細胞に存在していることがわかったことであろう、と柴田氏。
薬の摂取、「いつ、どのように」が焦点
体内時計ができるだけ正確に刻まれ続けることが健康維持の最も基本的なことである。
実際に時計遺伝子が狂うと、不眠症・さまざまな腫瘍・感情障害・メタボリックシンドローム・アレルギー・炎症といった不調が生じやすくなり、放置しておくと深刻化してしまう。
また、春は花粉シーズンだが、日中よりも花粉飛散量の少ない朝に症状が出やすいと感じる人も多い。
他にも偏頭痛が起こりやすい時間、皮膚過敏が起こりやすい時間などがある。これらは体内時計が狂っていなくても体内時計によって起こる生体変化によるもの、と柴田氏。
体内時計が発見されてから「時間生物学」という観点で生活習慣や栄養摂取、薬の摂取について考え、「いつ、どのように」というポイントに焦点が当てられるようになり、さまざまな研究がなされているという。
深夜の激しい運動、時計遺伝子を狂わせる
時間生物学は「時間運動学」「時間栄養学」「時間薬理学」から成る。
「時間運動学」はいつ、どのような強度の運動をすればより効果的か、という観点から研究が行われている。
近年、24時間フィットネスが流行っているが、深夜に激しい運動を行うことは時計遺伝子を狂わせる要因になることが解明されつつある。
また減量目的の運動は朝方に行った方が効果的であることもわかっている。
機能性成分の摂取にも適切なタイミングがある
「時間薬理学」は誰にでも経験があることで、例えば、処方箋に記載されている「摂取時間」のこと。
抗コレステロール薬の「スタチン」は夜に摂取するのが効果的であることがわかっていて、処方箋にもそのように指示がある。
薬については、基本的にいつ飲めばより効果的かが解明されているためそれに従えばよいが、問題はトクホや栄養機能食品である、と柴田氏。これらには摂取時間を表記してはいけないことになっている。
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