8種類のビタミンEが存在
1922年、レタスから発見されたビタミンE。当初はラットの生殖に関与する必須な食事性新規因子として見い出された。
1924年には、5番目に発見されたビタミンとして「ビタミンE」と名付けられ、1936年にトコフェロールと命名、さらに1938年にはトコフェロールの合成に成功する。
近年では海洋生物由来トコフェロール、キウイフルーツより2009年に発見されたδトコモエノールなどが新しいビタミンEの仲間として確認され、現在は8種類のビタミンEが存在することがわかっている。
ビタミンEといえば「抗酸化」機能が有名。「神が生物界に与えた抗酸化剤」といわれ、生体内で発生したラジカルを消去・酸化抑制だけでなく、生体外でも物質の酸化防止剤として働く。
他にも、血流促進、免疫賦活、抗炎症、抗血漿板抑制、ホルモン分泌調整など、近年次々と優れた機能性が報告されている。
ビタミンEの3つの機能
これらの作用は、ビタミンEに「抗酸化」「細胞内情報伝達作用」「細胞膜安定化」の3つの機能が備わっているからである。
こうした機能により、ビタミンEはさまざまな健康維持や疾病予防に役立つと考えられている。
「抗酸化作用」については、体の100兆以上の細胞一つ一つを形成する細胞膜(生体膜)に活性酸素(フリーラジカル)が発生すると、通常は体内で幾つかの防御作業が働いて消去される。
しかし、消去されずに次々と酸化反応を繰り返すと、過酸化脂質が形成され、生体膜に障害が生じる。
この時、ビタミンEが存在すると、ビタミンEが代わりに酸化され、フリーラジカルが消去されて、過酸化脂質の形成が抑制される。
ちなみに酸化されたビタミンEはビタミンCやコエンザイムQ10などの体内にある他の抗酸化物質によって速やかに元に戻される。
米国では「心筋と免疫の健康増進」表記
「細胞情報伝達調整作用」については、遺伝子転写調整因子の移行の抑制機能などが知られている。
「生体膜安定化作用」については、生体膜を構成するリン脂質の二重構造の箇所にビタミンEが入り込み、膜組織を安定させると考えられている。
これらのビタミンEの働きから、日本では栄養機能食品において「抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける」という表記が認可されている。
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