40歳頃から免疫力が低下
日本でウイルス感染のリスクが高まっている。
ウイルス感染といえば、冬から春の季節性のものばかりが注意喚起される。しかし、実は新型インフルエンザやプール熱、デング熱など夏や秋に流行するものも増えている。
アジア全体では鳥インフルエンザやその他新型の感染症が次々に発生し、日本人もリスクにさらされている。
常に免疫を高い状態で保てるのが理想的だが、とくに高齢者は年間を通して免疫の管理が必要となる。
人は40歳頃から免疫力が低下する。70歳になると免疫力は乳児と同じレベルにまで低下することがわかっている。
風邪をひきやすくなり、それが元で肺炎や気管支炎など重篤な症状に陥る場合もある。あらゆる世代で免疫を高めるニーズが求められている。
乳酸菌の多彩な機能
免疫を高める食材といえば、多くの人が乳酸菌を思い浮かべる。乳酸菌は世界でもっとも研究されている健康素材で、腸内環境を改善し、便秘や腸炎、アレルギーといった炎症系疾患に強いことが知られている。
また近年では、コレステロールや中性脂肪のコントロールや脳機能の改善など、さまざまな機能性が報告されている。
乳酸菌は菌であり、細菌と同種であるため、細菌の感染による免疫活性があることが解明されている。
私たちの体が細菌に感染するとマクロファージが活性し、細菌の増殖を防ぐシステム(=免疫)がある。
しかしウイルスに感染した場合、人の防御機能は細菌に感染した時とは違うシステムで働くことがわかってきた。
乳酸菌、ウイルス感染を防御
ウイルスに感染した場合、pDC(プラズマサイド樹状細胞)という細胞がウイルスを認識し、NK細胞やキラー細胞に指令を送り、それによりウイルス感染を防御する。
これまでの乳酸菌はナチュラルキラー細胞など一部の免疫細胞しか活性させることができず、細菌に対する免疫強化のエビデンスは豊富だが、ウイルスについては実はわかっていなかった。
むしろ乳酸菌ではpDCを活性できないという論文さえあった。
そこで研究チームはpDCを活性する乳酸菌がないか探し続けた。そして、ようやくJCM5805という理化学研究所に保管されている乳酸菌にたどり着いたという。
プラズマ乳酸菌、感染症の発症率を低下
この乳酸菌は「pDCを活性させる乳酸菌」ということで「プラズマ乳酸菌」と命名。他の乳酸菌はpDCにふりかけてもpDCの周辺を取り囲むようにひっついてしまうだけであった。
しかし、プラズマ乳酸菌をpDCに振りかけると、pDCの細胞内に侵食し、さらにpDCが活性し樹状細胞(ギザギザの細胞)となり、他の免疫細胞にも指令を与え、速やかにウイルスを攻撃する体制に入るメカニズムを持つことがわかった。
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