法規制対処、まず優先すべき事項から
コンプライアンスを遵守して、クリーンなビジネスを行いたいとどの企業も考え取り組んでいる。
しかし、とくに健康食品や化粧品などの企業は知らないうちに悪意なく法令を逸脱し行政から指摘を受けることが少なくない。
企業としてもどのように対応すべきか頭を抱える、などの相談をよく受けると斎藤氏。
健康食品の販売で問題を起こさないようにと、コンプライアンス遵守に資金を投入しようと考える企業も少なくない。
しかし、それもコストがかかりすぎる。まずは法規制の概要を頭に入れ、優先事項から取り組むのが得策だという。
薬事法の摘発や行政処分、年間100件近い
例えば、健康食品で重要な法律は「薬事法」「景表法」「健康増進法」「特別商取引法」だが、この中で最も指摘されやすく、また社会的インパクトやリスクが大きいのは「薬事法」「景表法」。
この2つは、場合によっては逮捕者が出たり、大きく新聞報道される。ネットでは、そのニュースが残り続け、大手ほど損失が大きくなる。
実際、薬事法の摘発や行政処分の件数は多く、逮捕者が出たり、刑事事件として摘発されるものが1年で100件近くコンスタントに生じているという。
まずは薬事法と景表法の遵守に注力
また、景表法については薬事法ほどのインパクトはないが、年間数十件程度の処分がコンスタントに行われている。
これには課徴金制度があり、過去3年に遡り、売り上げの3%を国に徴収される。
ちなみに特商法などは課徴金もなく、摘発の件数もほとんどない。そこまでコストをかけたり優先順位の上位となる法令ではない。
まずは薬事法と景表法の遵守をどのように行うかに注力すべきであろう、と斎藤氏。
パッケージのライティングで逸脱するケースも
機能性表示食品がスタートしたことで、薬事法と景表法で逸脱しているケースが多く見受けられるという。
機能性表示食品は4月13日現在、849件受理されており、今後もハイスピードで増えていくことが予測される。知名度も上がり利用者も増え、あらゆるメーカーが市場を注目している。
この制度の最大のメリットは、届出が受理されれば機能性が商品に明記できるということ。
もちろん受理された届出をそのまま記載することは問題ない。しかしそのままではわかりにくい、長すぎる、注意書きが多すぎる、書ききれない、といったデメリットがあり、多くの場合「より魅力的な形にリライト」される。
これが売り上げを左右するため、届出から逸脱したライティングを行ってしまう企業が非常に多いと斎藤氏。
逸脱した表記をしている企業が多い
例えば、商品そのものではなくシステマティックレビュー(文献調査)で受理してもらっているのに、あたかもその商品そのものにそのような機能があると書いてしまう犯しがちなミスもある。
・
・