そこでネムノキ樹皮から抽出した「ネムノス」でin vitroによる細胞感作試験を行ったところ、ネムノス添加群とプラセボ群では添加群において「位相」の変化が確認された。
ネムノスが細胞内の時計遺伝子を動かす可能性があることが示唆され、概日リズムの乱れを調整する成分として期待されることが報告されたという。
概日リズムの乱れを調整
また哺乳類においては特に、時計遺伝子が各組織で連携しているため、一つのリズムが崩れるとドミノ倒しのように他の組織のリズムも崩れやすくなり精神的にも身体的にも不調をきたす「リズム異常症」が引き起こされる。
こうしたリズム異常症を引き起こしたマウスにネムノスを3日連続経口投与し、どのような変化が起こるかを観察した。
その結果、ネムノスを投与したことで、各組織の「時計遺伝子タンパク質PE2」が有意に変化し、ネムノスが概日リズムの乱れを調整する可能性が高いことが示されたという。
他にも、マウスの試験において、ネムノスの経口投与で肝臓のPer1、Per2、Bmal1といった時計遺伝子が調整される可能性も示唆されており、リズム異常症の緩和に役立つ可能性があることが示唆されたという。
入眠の改善、睡眠の質や量の増加
さらにヒト試験も行われているが、被験者(29〜49歳の健常者・男性5名、女性4名)にネムノス200mgを10日摂取し、13〜16時のタミングで眠気状態の評価をする試験を行った。結果、9名中6名が午前中の眠気が抑えられたという。
また、午後の眠気が抑えられ、気分が良くなったことが報告されたという。
この試験はVAS(視覚的アナログ評価尺度)で評価を行っているが、覚醒度・意欲・気分・集中力が有意に増加していることが確認され、被験者全体において朝方傾向が強くなったことが示唆された。
これは入眠が改善され早くなったことから、睡眠の質や量が増加し、午後の眠気が減少したためと推察される。
これらの幾つかの試験によって、ネムノキ樹皮から抽出したネムノスには睡眠の質を向上させ、日内リズムを正常化させる可能性が示されたが、今後さらに試験と研究を重ね、より幅広く健康食品素材として利用されることが期待される、とまとめた。
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