増粘多糖類、白キクラゲ多糖類の多様性
〜Ifia JAPAN HFE JAPAN 2017


2017年5月24日(水)〜5月26日(金)、東京国際展示場で、ifia JAPAN 2017 第22回 国際食品素材/添加物展・会議 HFE JAPAN 2017 第15回 ヘルスフードエキスポが開催された。同展示会セミナーより、ユニテックフーズ鰍フ「増粘多糖類のご紹介」を取り上げる。


増粘多糖類、多くの場面で利用

今冷凍食品市場が急激に成長しており、多糖類の需要が伸びている。

多糖類は多くの場面で利用されており、私たちの生活に密着しているが、よく知られるところでは「ソースやドレッシングのとろみとしての利用」「ゼリーを作るのに利用」「ココアやコーンスープなどの粉末飲料を均一に分散させる」「化粧水や乳液のとろみや肌触りの改善」などである。

つまり液体やゼリー状の物質の「増粘」「ゲル化」「安定化」に用いられる素材が増粘多糖類である。

同社では、長年増粘多糖類の開発製造を手掛けているが今回は新商品として「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」を紹介した。

中国の薬学書「本草網目」にも掲載

白キクラゲは楊貴妃や西太后なども美容と健康のために愛用していたとされる健康食材である。

中国の薬学書「本草網目」にも掲載されており、非常に効果の高い漢方薬の素材として、また薬膳や高級中華料理の食材として知られる。

白キクラゲは、一般的なキクラゲと同様キノコの一種だが、一般的なキクラゲが茶色く円板型をしているのに対し、白キクラゲはミルキーホワイトで花びらのような形をしている。

この白キクラゲより「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」を抽出するが、1kgの白キクラゲからわずか5gの多糖しか抽出できないため、非常に貴重な成分といえる。

この「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」は主鎖にマンノース、側鎖にグルクロン酸やフコース、キシロースを含む構造をしていて、分子量は300万〜500万Nwと大きい。

保水力はヒアルロン酸以上

同素材の特徴としては「高い保水力」を持つということで、その保水力はヒアルロン酸以上である。

増粘多糖類としてはグァーガムやキサンタンガムなどが知られるが、これらよりも保水力は高く、また低粘土であるため食感を邪魔しないという特徴がある。

また最大の特徴が繰り返し冷凍解凍をしても一定の保水性を保てる、ということ。冷凍解凍を3回繰り返しても、保水率に変化が生じないという。

実際に、「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」を使用した冷凍食品の例では、冷凍ホイップクリームに「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」を加えることで舌触りの滑らかさを改善させるほか、組織の硬化が防止されるため、冷凍であっても見た目に絞りたてのホイップ感が残る。

冷凍デザート市場、今後も拡大が予測

現在、インバウンド需要により、ホテルを中心に冷凍ケーキ市場が成長しており、この10年で20%伸びている。

また飲食店全般で人手不足が問題となっており、冷凍デザート市場は今後も拡大が予測されている。

一般家庭向けの冷凍デザートでは、より高級感のある商品が求められており、「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」を加えたホイップクリームは需要に応えられるのではないか、という。

また、冷凍ハンバーグの問題点として、レンジアップした後に、パサつきが生じる、中の水分が蒸発することでサイズが小さくなるといった問題があった。

しかし「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」を加えた冷凍ハンバーグは加熱調理をした後も保水性が変わらないため、歩留まりが向上し(サイズが変わらない)、ジューシーさも維持できるという。

冷凍耐性や乳化安定で効果を発揮

また、冷凍の卵加工品については、冷凍のだし巻き卵焼も冷凍食品の中では人気商品の一つだが、どうしてもドリップ(離水)が発生し組織が荒れたり、サイズが小さくなったり、パサつきが生じる。

しかし、「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」を使用した、だし巻き卵焼きは滑らかさもふっくら感も維持でき、見た目にも「す」が入りにくく美しいまま維持できる。

また、食パンについても、近年食パン業界では「乳化剤不要」がトレンドになっているが、「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」を使用すれば乳化剤を使用した以上のきめ細かさと優れた口溶けが実現できるという。冷凍耐性にも優れるため、保存にも向いている。

「白キクラゲ多糖類 トレメルガム」を使用することで冷凍食品のレンジアップ耐性、冷凍耐性、乳化安定、分散安定、作りたて食感維持などが同時に叶う。今後も冷凍食品市場は拡大が推測されるため、新たな商品開発に生かして欲しいとまとめた。


Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.