薬効評価などの最先端の解析手法
メタボロームとは動物や植物、食品などに含まれる分子化合物の総体のこと。
例えばアミノ酸、リン酸化合物、核酸、ペプチドなどもメタボロームの一つで、これら代謝物質の種類や濃度などを網羅的に分析・解析する手法がメタボロミクスである。
これまでは主に医薬品の品質管理、ガンなどの疾病の診断マーカー、薬効評価などの分野で用いられてきた、最先端の解析手法であった。
そのため大手企業のみが利用でき、手が届かないものというイメージがあった。
しかし近年は中小企業にも注目、実際に手が届く技術になっている。
機能性表示食品の商品開発でも活躍
ヒューマンメタボロームテクノロジーズ社はメタボローム解析では13年の実績がある。
当初は医薬品メーカーや大学、大手食品メーカーからの解析依頼がほとんどだったが、近年、中小企業の食品メーカーからの依頼が増えているという。
メタボロミクスは、実際にどんなところで役立っているのか。
医薬品の開発はもちろんだが、健康食品や機能性表示食品においても作用機序の解析や解明は必須で、そのためにメタボロミクスが使われている。
医薬品と違い、食品で健康を実現・証明するには「健康な人」にどのような変化が起こるかを確認する必要がある。
病人や医薬品と違いドラスティックな変化が見込めない、わずかな食品による作用や動態変化はメタボローム解析が最も得意とする。
メタボローム解析で食品による予防が可能に
メタボローム解析では試験管やマウス、また便による解析も可能である。
「腸内細菌」「腸内フローラ」「デブ菌」「痩せ菌」といったキーワードもメタボロミクス解析により、本当に有効かどうかが確認できる。
また、「何が起こっているのか」「どこにどのような変化が生じているのか」ということも具体的に数値化できる。
腸内細菌などをターゲットにした商品開発に、メタボロミクス解析は必須といっても過言ではない。
近年、うつ病やアルツハイマー型認知症などの精神疾患のメカニズムやそれに対する早期発見予防のニーズも高まっているが、メタボロミクス解析を行うことで食品による予防が不可能ではないことへの期待が寄せられている。
食品の解析、昨対比30〜40%増
こうした背景から、食品関連企業からの解析依頼が、昨対比で30〜40%増えている。
トクホや機能性表示食品だけでなく、健康食品業界全体で、独自素材を訴求することや確かなエビデンスを構築することが求められている。
メタボローム解析の活用例として、山形県のブランド米「つや姫」がある。
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