「ポジティブエイジング」という概念
メタボロームとは動物や植物、食品などに含まれる分子化合物の総体のこと。
「ポジティブエイジング」。この言葉は、木村氏を中心に提言している新しいエイジングケアの概念であり、それを象徴する造語であるという。
加齢(エイジング)は誰にも止めることができないし、誰にも平等に訪れる。
それに抗うのがアンチエイジングの概念だが、そうではなく、この加齢を止められないという事実を受け入れる。
そして、「老化」の速度をポジティブにコントロールするというのが、アクティブエイジングである、と木村氏はいう。
自分に合った養生で健康寿命を伸ばす
漢方の世界では2000年以上前から男性は8年、女性は7年ごとに体に大きな節目が訪れると考えられている。
男性は32歳、女性は28歳で体の機能がピークに到達し、そのあとは緩やかに下降し、それは止めることはできないとされている。
しかし日頃の「養生」で下降の速度を遅くすることも、程度を軽くすることもできる、と木村氏。
漢方の知恵を生かし、自分にあった養生を見つければ、アクティブエイジングと同時に、健康寿命そのものも延ばすことができるという。
生薬の約90%は植物由来
そもそも漢方薬とはどのようなものなのか。
中国では動物性の原材料も使用されているが、日本で用いられている生薬の約90%は植物由来である。
例えば胃腸の弱い人の風邪の初期に用いられる「桂枝湯(けいしとう)」はシナモンとしても知られる「桂枝」、芍薬、生姜、大棗(ナツメ)、甘草の5つの生薬で構成されている。
これらの5つの成分は単独で効果を発揮するのではなく、調合されることで相乗効果が生まれ、生姜は桂枝の効果を、大棗は芍薬の効果を補佐し、さらに甘草が全体の調和を図る役割を果たしている。
また漢方の古典には、風邪をひいた際は、「桂枝湯を服用し、少量のお粥をとり、布団をかけて少し汗をかかせ、冷たいもの、辛いもの、お酒、肉などを控える」と食事と養生のポイントが記されている。
この養生と有効成分が濃縮されている生薬、そしてこれらの相乗効果で予想できない効能が期待できるのが漢方の魅力だ、と木村氏。
心身全体の調和を図る
もちろん漢方にも副作用はあり、成分が濃縮されている分、副作用も起こり得る。特に西洋薬の併用とは考慮が必要で、また自分の体質との調和も何よりも大事だと話す。
また漢方では症状だけでなく全体を診る。例えば頭痛がある場合、頭痛を鎮める生薬だけでなく、それがストレス由来であればストレスを緩和させる生薬も処方し、「心身一如」の考え方を実践する。
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