新しいバイオマーカーが次々に発見
バイオマーカーという言葉を聞いてどんなイメージを持つであろうか。
臨床が主な活躍の場である久保氏は、バイオマーカーにも色々な立場があり、大きくは2つに分類できると説明。1つが「新しいバイオマーカーを創造する立場」。
これは研究の領域であり、最新のゲノムや遺伝子研究の進化とともに日進月歩で新しいバイオマーカーが次々に発見されているという。
そして久保氏のように臨床の側に立つと「バイオマーカーをいかに適切に活用するか」が重要であり、「バイオマーカーを使う立場」になるという。
超高齢化社会の日本において、生活習慣病、認知症、フレイル、ホルモン障害、免疫感染、腸、メンタルコンディション、がん、血管障害、といったさまざまな健康課題を解決し、それを「解明」していくことは非常に重要なことである。
「がん」などの予防で、バイオマーカーを有効利用
いずれの症状疾病もある日突然起こるのではなく、日々生活していく中で徐々に進行したり(時に良くなったり)しながら動態を変え、最終的に「疾病」となって現れる。
バイオマーカーはこの「病態」が「疾病」に変化していくまでのかなり初期の段階で「リスクを確認する指標」となる。
例えば、従来から良く知られるマーカーに「血糖」「HbA1c」「LDL」「中性脂肪」「体重」「BMI」などがある。これらの以前から用いられているマーカーはもちろん現在も臨床や健康診断などの場面で有効活用されている。
さらに、続々登場する新規マーカーがある。例えば血管内皮前駆細胞を調べる「EPC」や酸化ストレスの市場となる「8OHdG」、真の悪玉コレステロールと注目される「sdLDL」など。
また、サロゲートマーカーといって中間的指標となる「内臓脂肪面積」「骨密度」「血管年齢」「頸動脈IMT」「CACS冠動脈石灰化指数」なども、臨床では有効なマーカーといえる。
これらの初期のマーカーや中間マーカーを活用することで最終的な疾病である「脳血管障害」「新血管障害」「がん」などを予防できればバイオマーカーが有効に利用できた、ということになる。
経年変化を追うことが難しい
バイオマーカーについては研究がどんどん進んでおり、各国から有効な論文がたくさん出ている。
例えば、腎臓の機能低下を調べるマーカーである「クレアチニン」。このクレアチニンが低い人は入院中の死亡率が高い、という論文も出ている。
また、筋肉を構成するタンパク質のひとつである「トロポニン」。このマーカーが「腎障害マーカーに利用できる」という論文も発表されている。
バイオマーカーの面白い点は、「多面的に活用できる可能性が高い」ことだが、現時点では「経年変化を追うことが難しい」という側面もある。
近年「GDF2」が注目
「アンチエイジング」がここ数年のテーマでブームだが、そもそも自分の本当の「エイジング度合い(加齢度合い)」を知らずして、正しい「アンチエイジング」はありえない、と久保氏。
そしてエイジンングを理解するためのマーカーとして近年「GDF2」が注目されているという。
GDF2は心臓や脳、筋肉に働きかけ老化を抑制する物質で、血中から測定する。
・
・