アンチエイジングに欠かせない植物
ローズマリーは肉料理の香辛料として頻繁に使用され、ハーブの中でも知名度が高く人気がある。成分が揮発することにより独特の香りが楽しめ、精油としても人気が高く、アロマセラピーの材料としてよく使用される。
ローズマリーに健康効果があることは諸外国でもよく知られ、一部の国では医療の分野でもよく使用されている。ちなみにローズマリーの和名は「万年郎」で「永遠の若さ」という意味を持つ。
ローズマリーは化粧品成分としても使用され、「若返りの水(ハンガリアンウォーター)」といわれている。
ローズマリーをアルコールにつけて蒸留した化粧水で、ハンガリー王妃が好んで使用したという逸話もあり、まさにアンチエイジングに欠かせない植物としてよく知られている。
アルツハイマー型認知症に期待
つまり、ローズマリーは食べても塗っても体に良い作用をもたらす植物であるということだ。
このような特徴を持つローズマリーは、ベルベノン、ロズマリン酸、ルテオリン、ゲンクワニン(フラボノイド)、カルノシン酸などによって構成されている。
中でもカルノシン酸は脳細胞を保護する働きがあることが知られている、と佐藤氏。
カルノシン酸はローズマリーの最も主要な有効成分の一つだが、カルノシン酸そのものに活性はなく、生体内に入ることではじめて活性型に変化する。
そのため毒性が現れにくく、薬効が現れやすいと佐藤氏。2008年に、佐藤氏らの研究グループは、脳のKepa1/Nrf2という経路をカルノシン酸が活性することを報告している。
それ以来、アルツハイマー型認知症にローズマリー由来のカルノシン酸が有効に働くのではないかと、臨床も含めて多くの研究が行われている。
カルノシン酸の脳保護機構
カルノシン酸を体内に投与すると、実際に脳に到達し、脳神経を保護することがマウス実験ですでに解明されている。
体内に入ったカルノシン酸は、体内で酸化してキノン型カルノシン酸になり、さらにキノン型カルノシン酸によってグルタチン酸の代謝活性が行われ、脳保護に繋がるという機序である。
例えば、脳梗塞を起こしているマウスに、カルノシン酸を投与すると、梗塞を起こしている部分が有意に小さくなっていくことが報告されている。
しかし、ヒトに対しては脳にまで到達させるのは容易とはいえない。カルロシン酸の薬剤を作ることが一番簡単だが、これでは合成になってしまう。
またローズマリーの乾燥葉を摂取するとなると、基本的にはそのままでは苦くて食べられない。
また脳細胞での薬効・吸収率・乾燥葉に含まれるカルノシン酸の量を考慮すると1日に5gのローズマリー乾燥葉を摂取しなければ効果が得られない計算になる。
1日に5gのローズマリー乾燥葉とは市販のローズマリー香辛料1本と同じサイズであまりにも現実的でない。となると、ローズマリー抽出物(脂溶性分画したもの)が有効となる。
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