生薬としても知られる
ホップは、ビールに爽やかな苦味や特徴的な香りをもたらす成分で、私たちにとって非常に身近な存在である。
ビールの魂といわれるだけあって、ホップがなければビールは成り立たないほどだが、そもそもホップとは植物であり、ヨーロッパではビールの成分としてよりハーブとして知られている。
さらにこのホップにはさまざまな健康価値があることが古来より知られている。国によってはハーブというより生薬として知られているほどだ、と形山氏。
日本でも栽培されており、3月頃に苗を植え、ゴールデンウイークあたりに芽が大きく成長し、つるが伸びてくる。成長したホップは松ぼっくりのようなグリーンの「毬花」と呼ばれる実をつけ、この毬花がビールのホップとして使用される。
最終的には8月のお盆頃に収穫されるため、秋にビールの新商品が多く出ることとも関係している。ホップの健康効果はよく知られている一方で、それはあくまで伝承レベルであり科学的な研究は残念ながらあまり行われてこなかったという。
そのためキリンが先陣を切って研究をスタートさせたという経緯がある。
脂質代謝を改善する可能性
そもそもホップには苦味がある。苦味は一般的に人間が好まない味である。しかしビールの苦味は例外的に好まれる苦味であり、この特徴がヒントとなり研究がスタートしたという。
ホップの毬花の真ん中にはルプリン腺と呼ばれる場所があり、そこにα酸や香り成分が含有されている。
α酸はビールの苦味成分であるイソα酸に変換されるが、このα酸または変化したイソα酸に特異的な機能性がないかを調べた。
その結果、イソα酸には細胞内代謝に関わるPPARαとPPARγレセプターの活性作用があることがマウスの試験で認められた。
また市場でも「体脂肪低減」関連のニーズが高いことから、試験官試験を繰り返したところ、イソα酸にはインスリン停滞性の改善、脂質代謝を改善する可能性が示唆されることが示されたという。
その後マウスによる動物実験でも、U型糖尿病のマウスの血中遊離脂肪酸の低下、血糖値の低下、体重減などが見られた。
さらに軽度のU型糖尿病患者のヒト試験によっても白色脂肪細胞のサイズの縮小や体重減少が見られた(ヒト試験は1日32mgの摂取を12週)。
ただし皮下脂肪については有意差は見られなかったという。
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