例えば、朝食を毎朝食べる子どもは、時々欠食する(週に6回以下)子どもに比べて「集中力が足りない、素早く動けない」と回答する割合が低い。
さらに、朝食の内容でも「主食・主菜・副菜」を毎日食べている場合、そうでない子どもに比べ「集中力が足りない、素早く動けない」と回答する割合が低いことなどが報告されている。
また、夜食や間食の頻度が多い子どもの方が、少ない子どもに比べて「疲労感」や「忍耐力」といった自覚症状を訴える子どもが多いことも報告されている。
共食で、子供は良好な精神的健康状態に
さらに、家族と食事を共にしているかどうか(共食)も重要なポイントであることがわかっているという。
子どもの良好な精神的健康状態は、家族と一緒に食事を食べる「共食」の回数が多い方が正の関連がみられる。
一方、一人で食事をする「孤食」の回数が多い方は負の関連がみられることがわかっているという。
しかし、共食であってもその時間や雰囲気が子どもたちにとって安らげるものでない場合、共食で得られるメリットは少ない。
実際、「家族との食事が安らぎの場ではない」と回答した中学生は「安らぎである」と回答した中学生に比べ、「イライラ感、根気のなさ、登校忌避感」がある割合が多いことが報告されている。
安らぎと心地良さを与える食事の場を作る
このように、食事のリズム、内容、誰とどんな雰囲気で食事を食べるかが、子どもの心の健康と密接に関係し、さらに心の健康が身体的健康状態をも左右するといえる。
そのため、学童期から思春期の食習慣はその後の人生にも深く影響を及ぼすことも見逃してはならないと衛藤氏。
例えば、この時期から朝食を欠食する子どもは、大人になってからも朝食が食べられなくなるケースがほとんどという。
学童期や思春期の子どもの心の健康は、体、行動、精神、発達と色々な側面から理解する必要があるが、この時期の子どもたちにとって食事は単なる栄養補給だけでなく、心の安らぎを感じられる内容や場であることが重要である。
またこの時期に正しい食育を行うことで「楽しく食べる」ことが身につき、それが生涯にわたるQOLの向上や社会的、精神的健康にもつながる、と衛藤氏。
食事の内容はもちろん、安らぎと心地良さを与える食事の場を作ることが、成長期の子どもたちにとって最も大切なことではないか、とまとめた。
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