体内のAGEsで老化度が推測
老化の原因はプログラム説、テロメア説、エラー蓄積説、などいろいろなものがある。しかし近年は「糖化」に原因があるのではないか、と言われつつある、と永井氏。
日本人の国民病といわれる「糖尿病」も老化現象のひとつと言えなくはない。高血糖やインスリンの異常を放置しておくと70〜80代で血管の梗塞が現れたり、腎症や神経障害、網膜症などが起こる得る。
しかし、現役世代や20代でもそれらが起こるケースが増えており、問題視されている。
健康診断等で健康の指標や主要マーカーとしてよく知られているものの一つに「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」がある。
赤血球中のヘモグロビンのうちどれくらい糖と結合しているかを示す数値で、糖化最終生産物であるAGEsの前期生産物の1つといえる。
「AGEsとは炭水化物からできる老化物質」とも言い換えられるが、このAGEsが体内にどれくらいあるかでさまざまな病気のリスクや体の老化度を推測することができる。
体内のAGEsの測定は困難
これまで体内のAGEsを測定することは非常に難しいとされてきた。というのも、AGEsは糖代謝だけでなく、脂質異常やミトコンドリア異常といったさまざまな原因や経路で発生し、種類が豊富なためだ。
AGEsはゆっくり生成されるのではなく、数日でできる。またAGEsの分子量は小さすぎてタンパク質から抽出するのが非常に難しい。
加熱により発生するため、試験中に人工のAGEsが発生してしまう。これらのことで、測定が難しかった。
しかし、AGEsは骨に蓄積すると、骨の老化(変形)が進む。また、眼の水晶体に蓄積すると視力が低下することもわかっている。
AGEsが骨に蓄積しやすい
特に人の体内において骨はAGEsが蓄積しやすい部位であることが近年さまざまな研究で明らかになっている。
これまで「骨密度が高くても骨折しやすい人と、骨密度が高くなくても骨折しない人がいる」ことが説明できなかった。これがどうやらAGEs値の違いで説明できるのではないかと考えられている。
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