糖化は老化、最新研究からの糖化対策
〜ダイエット&ビューティーフェア2017


2017年9月11日〜13日、東京ビッグサイトで、第16回 ダイエット&ビューティーフェア2017が開催された。同展示会セミナーより、八木 雅之氏( 同志社大学生命科学部 酸化ストレス研究センターチェア・プロフェッサー教授)の講演「糖化は老化〜最新研究からの考察」を取り上げる。


2010年ころから糖化対策ブーム

糖化と老化の関係は1980年代から指摘されており、特に糖尿病の合併症の原因が糖化であることが知られている。

日本では2000年代になってから少しずつ「糖化」という言葉が聞かれるようになった。

2010年には化粧品会社のポーラとロート製薬が糖化対策の基礎化粧品を発売し、このあたりから「糖化」ブームが始まった。

とくに抗糖化コスメは大ヒットし、これをきっかけにTVの健康番組でもこぞって「糖化」を扱うようになった。

「食べる順番ダイエット」や「糖質制限ダイエット」「炭水化物抜きダイエット」なども糖化対策であり、「抗糖化」の意識が定着していった。

「糖化」と「老化」の関係

2014年実施のネット調査では、老化の原因が「酸化」と答えた人が70%、老化の原因が「糖化」と答えた人が30%だった。

八木氏は25年以上糖化の研究をしているが、現在はより多くの人が「糖化」と「老化」の関係を知っているのではないか、と分析している。

そもそも糖化とは体の中で余分な糖とタンパク質が結合して起こる反応である。

この反応により、細胞や組織の機能が変化したりもろくなる。また同時に、糖化最終生産物であるAGEsという物質が作られる。

これが体内に蓄積すると細胞の炎症や機能の低下が起こることがわかっている。しかも糖化反応は非可逆的反応であるため、AGEsは排出することが難しいと考えられてきた。

認知症は「脳の糖尿病」

しかし私たちは食品を摂取しなければ生きていけない。そのため、糖化は避けられない。

生きることは糖化が生じることであり、糖化によりさまざまな老化現象が起きると考えられている。

しかも糖化は食事から摂取した糖だけでなく、酒のアルデヒト類やケトン体とタンパク質が結合したり、ストレスなどでも作られることがわかってきている。

糖化が起こり、それが進むと、まず組織の色が変わり硬くなるなどの変性が一目瞭然で起こる。

特に肌には顕著に顕われ、「黄ぐすみ」や「ゴワつき」「ハリや弾力の低下」「キメの乱れ」などが進む。

食後血糖値を軽減させることが大切

ちなみに、認知症は「脳の糖尿病」ともいわれているが、実際に、アルツハイマー型認知症の人は脳のAGEsが正常の人の3倍も多いことがわかっている。

他にも、動脈硬化、ロコモ、骨粗しょう症、糖尿病の合併症など、糖化はあらゆるリスクの原因となる。

しかしAGEsが体内にどれだけ蓄積されているかを測定するのは極めて難しい。

今年シャープから国産のAGEs測定器が発売された。これは、AGEsを知る入り口にはなるが、血液中のAGEsを正確に把握するにはまだ時間がかかりそうだ。

少しずつ測定や予測ができる環境が整っているものの、AGEsの蓄積量を知っても知らなくても、大切なことは適切な糖化対策を行うことである、と八木氏。

その方法が食後の血糖値を軽減させることだという。

食後血糖値の上昇を減少させるには、食後1〜2時間後に軽く運動すること、食べる順番ダイエットで野菜から食べること。

また、肉や豆類など副菜から食べるのも同じような効果が得られる。さらにクエン酸の摂取でも血糖値の上昇は緩やかになるという。

柑橘類やお酢で糖化対策

近年、糖化を抑制したりAGEsを排出させるような成分に注目が集まっている。

例えば、ハーブの中でもキク科。シソ科、クマザザなどにはAGEsに対する排出効果が期待されている。

これからはどの組み合わせでブレンドすれば、より排出効果が高くなるのか、といったことにも今後注目が集まりそうだ。

AGEsを排出させる可能性については「ない」とは言えない。

現在ハーブや野菜などを中心に、スクリーニングによる研究が繰り返されている。

ポーラのコスメにはAGEsを分解するとされる「よもぎ由来エキス」が配合されており、AGEsを排出する健康・美容法への期待が高まっている。

まずは血糖値を上げない食生活を意識する、副菜をたくさん摂る、柑橘類やお酢を飲む、などの対策をとると良い、とまとめた。


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