PS、脳機能関連の機能性表示で注目
〜食品開発展2017セミナー


2017年10月4日(水)〜6日(金)、東京ビッグサイトで、「食品開発展2017」が開催された。国内外から食品やサプリメントに利用される注目の素材が一堂に集まり、参加企業がプレゼンテーションや最新動向の講演を行った。同展示会セミナーより、ビーエイチエヌ鰍フ講演「ありふれた機能性表示から脱却!PSで認知力UP、長命草で血糖値DOWN」を取り上げる。


脳の栄養素、ホスファチジルセリン(PS)

市場ニーズや業界トレンドを捉え、独自性のある素材を開発しているビーエイチエヌ鰍ヘ、これからの機能性表示対応素材として2つ提案した。

一つは、脳の栄養素として欧米では治療薬にも用いられているホスファチジルセリン(PS)。

PSはアミノ酸の一種であるセリンとリン酸、グリセロール、脂肪酸が統合した物質である。水溶性と脂溶性の両方の性質を持つリン脂質の一種で、「レシチン」としても知られている。

リン脂質は細胞の細胞膜を構成する重要な成分で、体を構成している全ての神経細胞の膜に存在するが、特に脳や脳神経細胞に多く含まれ、脳の機能に重要な物質であることがわかっている。

人の脳のリン脂質の約18%がPSとされ、「脳の栄養素」と呼ばれている。欧米ではアルツハイマー型認知症や老人性痴呆症の治療薬として用いられている。

子供の注意欠陥多動性障害の改善にも利用

PSは、ヒト臨床試験も多数行われ、1日に300mgを12週間摂取で、66歳の人が52歳の人と同等の成績を示すなど、最大で年齢による衰えの14年近い逆行が認められている。

高齢者の記憶力低下は中年期以降に起こる生理過程の一つだが、これが深刻になると仕事や生活で重大なトラブルが起きたり、QOLの低下につながるため、食事対策でのニーズは高い。

また、PSは高齢者の脳機能の向上だけでなく、若年層や子供の注意欠陥多動性障害などでも利用されている。

さらにスポーツ分野でも、PSの摂取により集中力が高まるためスポーツパフォーマンスの向上やスポーツ後の疲労感が軽減が期待されている。

PS、脳機能関連の機能性表示で注目

機能性表示の届出については、9月末時点で、1059品目中、関与成分は130にまで増えている。しかし、記憶力や脳疲労に関する成分としてはGABA、イチョウ葉フラボノイド配合体、DHAがほとんど。

PSは現時点で機能性表示の届出が少なく、1社だけが「記憶力の改善」で届け出を行っている。

現在7回目の審査の返答待ちで、受理されれば脳機能関連の新成分としてより注目されるであろう。

血糖値対策にボタンボウフウ

また、機能性表示で人気の訴求に「血糖値対策」がある。関与成分として食物繊維(難消化性デキストリン)が圧倒的に多いが、同社は「ボタンボウフウ」を次のように紹介した。

ボタンボウフウはセリ科の多年草植物で、与那国島や沖縄で感冒、疲労回復、滋養強壮に有効で、「1株食べると1日長生きする」と、昔から風邪や咳止めに利用されており、食経験も長い。

日本では九州の南部から沖縄に自生し、生命力が強く、育つ地域によってボタンボウフウの栄養素も異なる。

そのため同社では産地にこだわり、ミネラル豊富な土壌で育つ喜界島のボタンボウフウを原料にしているという。

クロロゲン酸、食後の血糖値上昇抑制

ボタンボウフウに含まれる機能性成分は「クロロゲン酸」で、喜界島のものは他の地域で採取されるボタンボウフウよりも多く含まれる。

クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、コーヒーにも含まれ、抗酸化力が強く、脂肪の燃焼効果を有する。

クロロゲン酸に食後の血糖値上昇の抑制作用があることが、ヒト臨床試験でも報告されている。

これは、インスリン分泌を促進するインクレチンの一種GLP-1とインクレチンを分解する酵素DPP-4の作用のためだ。

「糖質制限」や「糖化対策」という考え方や食習慣が、広く認知されるようになり今後ますます血糖値上昇抑制のニーズは高まると予測される。

機能性表示食品の多くは食物繊維の難消化性デキストリンだが、新素材の登場が期待されている。ボタンボウフウはまさに新素材として十分対応できるとした。


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