ヤマブシタケ、脳機能で注目の2つの成分
〜食品開発展2017セミナー


2017年10月4日(水)〜6日(金)、東京ビッグサイトで、「食品開発展2017」が開催された。同展示会セミナーより、潟Tン・メディカの講演「脳機能改善素材アミセノンの可能性」を取り上げる。


ヤマブシタケ、βグルカンが豊富

ヤマブシタケは食用・薬用に用いられる白い球状のキノコで、中国では400年以上前から食されている。

日本では生産が少ないため知名度は低い。形状が山伏の衣装の丸い胸飾りに似ているところから、「山伏茸」と呼ばれている。

ちなみにヤマブシタケは中国では「猿の頭」、アメリカでは「ライオンのたてがみ」と呼ばれ、人気が高い。

ヤマブシタケは食物繊維やビタミンB群、βグルカンが豊富で、アガリクスを上回るともいわれている。

ヤマブシタケから抽出されるエキスで特徴的なものは「アミロバン」と「ヘリセノン」の2つ。

この2つの活性成分を定量化したものが「アミノセン」であるという。

アミロバンとヘリンセン

ヤマブシタケには脳機能の改善作用があることが知られているが、この薬理作用を発揮する成分がアミロバンとヘリンセンである。

いずれも日本人の科学者によって発見され、作用機序も明らかになっている。

まずは、ヘリンセンが脳機能にどのように働きかけるのか。

認知症の主な原因は脳の神経細胞の死滅である。健全な脳神経細胞はNGFと呼ばれる神経成長因子によって修復や成長がスムーズに行われるが、加齢とともにNGFは減少する。

NGFは直接経口投与しても脳の関門を通過できないため、脳内でNGFが増えることはない。

しかし、ヤマブシタケに含まれるヘリンセンを経口摂取すると、血液を介し脳の関門をダイレクトに通過し、NGFの合成を活性させる。

ヘリンセンは世界で初めてNGFの合成を促進する動物以外の天然由来の活性物質として確認されているという。

アミロイドベータの毒性を抑制

一方、アミロバンの方はどのようなメカニズムで働くのか。

アルツハイマー型認知症患者の脳には老人斑と呼ばれる神経線維の変化が見られる。

これは脳内において、アミロイドベータという異常たんぱく質の蓄積が原因ということがわかっている。

アミロイドベータが脳内に蓄積すると、老人斑の原因になるだけでなく、小胞体ストレスや酸化ストレスも増加し、最終的に神経細胞が死滅してしまう。

つまり、健康な脳を維持するためには、神経細胞成長因子NGFとアミロイドベータの毒性抑制が必要となる。

アミロバンにはアミロイドベータの毒性を抑制する働きがあることが確認され、天然由来の成分では世界で初の成分であると注目されている。

アミノバンがアミロイドベータの毒性抑制、ヘリンセンがNGFの合成、この二つの経路で脳機能の低下が抑制される。

エビデンスについては、とくにマウスによる試験で多数報告されている。

認知症型マウスへのアミノセンの経口投与で、水迷路試験での学習能力の改善や、脳内NGFの増加が確認されている。

ヒト試験においても、問題行動が減ったり、概日リズム(体内時計)が改善されるなど、認知症の改善や抑制に効果があることが報告されているという。

抑うつや不眠症の改善でも期待

認知症に対する特効薬がなかなか出来ない。アミロイドベータの蓄積は誰でも50代くらいから起こりはじめるため、予防で何かできることをしたいという人は多い。

しかし、とくに予防のための医薬品がないため、アミノセンという健康食品の選択肢は非常に有益であるといえそうだ。

ヒトの臨床試験では概日リズムの改善が見られることから、アミノセンは認知症だけでなく、うつ病や抑うつ症状、不眠症の改善(睡眠時無呼吸症候群含む)にも効果があることも報告されている。

すでにラットの試験ではエビデンスが蓄積されつつあり、ヒト試験も今後さらに行なわれていくことが期待されているという。

アミノセンは脳の老化を抑制し昼間の覚醒をサポートし、毒性もなく、安全性も高い植物由来の成分で、静岡大学や佐賀大学など多数の大学でも研究が盛んに行なわれているという。

実際に認知症を発症している人だけでなく、40代〜50代のアンチエイジングサポート成分として、アミノセンが今後広く利用されることが期待される、とした。


Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.