菊の花エキス、シーベリーエキスのヒト試験で機能性表示へ〜食品開発展2017セミナー

2017年10月4日(水)〜6日(金)、東京ビッグサイトで、「食品開発展2017」が開催された。同展示会セミナーより、オリザ油化鰍フ講演「ヒト試験完了!「菊の花エキス」「シーベリーエキス」の機能性表示最新情報」を取り上げる。


菊の花エキス、抗痛風で利用

機能性表示食品として対応可能な新規成分を2つ、オリザ油化(株)が発表した。

1つが「菊の花エキス」。菊の花は刺身のツマにも使われるなど、食用や漢方薬としてよく用いられている。

台湾や中国では日本とは比べられないほど消費されおり、主に菊茶として愛飲されている。

漢方の効能としては目や風邪の諸症状に良いとされている。また、抗痛風作用も知られている。

痛風患者の増加は社会問題となっているが、国内では2013年の時点ですでに100万人を突破し、予備軍ともいえる高尿酸血症者数は1000万人を超えているとされる。

痛風の原因となる尿酸は、生体内の代謝、あるいは食品由来により体内に存在するプリン体が代謝される際、キサンチンオキシターゼ酵素が発生してできる。

尿酸が体外に排出されないで、血清尿酸値が0.7mg/dl以上になると高尿酸血症と診断され、末梢神経への刺激で激痛が走るようになる。

高尿酸血症の合併症としてメタボリックシンドローム、腎不全、尿路結石などもあり、尿酸値を管理することは非常に重要である。

菊の花のルテオリンに強い抗アレルギー作用

尿酸は一般的に食事由来のプリン体としてビールやワインに多く含まれると思う人も多いが、実はレバーや煮干しなどにも多く含まれる。

また、体内でも80%以上が作られ、プリン体ゼロと表示された食品を選んでいれば安心ということにはならない。

菊の花エキスにはフラボノイド類などの豊富なポリフェノールやビタミンCが含まれる。また、有効成分の「ルテオリン」には強い抗アレルギー作用、抗炎症作用がある。

菊の花エキスの摂取でも、ルテオリン単体の摂取でも、尿酸を作るキサンチンオキシターゼ酵素の活性を阻害する作用があることが報告されている。

実際に、ヒト臨床試験で日本人男性30名に4週間菊の花エキス100mg(ルテオリンとして10mg/day)を摂取してもらうランダム化二重盲検プレセボ対象クロスオーバー試験を行った。

その結果、血中尿酸値が正常高値の被験者(5.5mg/dL以上、7.0mg/dL以下)で、尿酸値が有意に低下したことが報告された。

すでに喫食実績、ヒト5倍摂取試験、急性毒性試験なども完了しており、機能性表示食品として十分対応できる。

機能性表示では、疾病名は書けないため、「尿酸値が高めの方の尿酸値を下げる機能がある」という表記が望ましい。

シーベリーエキスのウルソール酸、過活動膀胱に有効

2つめの機能性表示対応成分が「シーベリーエキス」。シーベリーは「サージ」または「シーバックソーン」の名でも知られ、近年は北海道でも栽培されている植物である。

このシーベリーエキスに含まれるウルソール酸の機能性が過活動膀胱に有効であることが報告されている。

過活動膀胱は高齢女性に多いが、男女ともに排尿筋の過活動が原因で起こる疾病で、昼夜問わず頻尿になる。また、時に失禁が起こるQOLを著しく低下させる疾病である。

おそらく100万人以上の通院患者がいると予測されるが、病院に行かずに我慢している人も多く、この症状への健康食品やサプリメントへの期待や需要は少なくない。

ヒト試験で、排尿時の不快感が減少

シーベリーはオメガ7が豊富に含まれ、生活習慣病予防にも良いとされている。

シーベリーに含まれる3種類のトリペルテンのうち、ウルソール酸はラット試験で膀胱の過活動を抑制する作用や夜間の排尿回数が減少する作用が認められている。

ヒト試験で、排尿に関するQOL改善効果について、ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を行った。

40歳以上の健康な日本人の男女で排尿回数が1日8回以上ある人を対象に、プラセボ群、200mg/日、400mg/日と3群に分けて8週間の継続摂取により、QOLの変化をアンケート調査した。

その結果、400mg/日摂取群で、夜間排尿回数や排尿時の不快感の減少、尿に関する悩みの低減といった体感が報告された。

今後5倍量の摂取による安全性試験やさらなる臨床試験を行う予定で、将来的には機能性表示で「ウルソール酸は過活動膀胱を抑制し、排尿に関する不快感を減らす」と記載できることを目指したい、とした。


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