健食市場における景表法・薬機法の最新情報〜食品開発展2017セミナー

2017年10月4日(水)〜6日(金)、東京ビッグサイトで、「食品開発展2017」が開催された。同展示会セミナーより、ソレイユ法律事務所の講演「知らないと怖い広告規制(景表法・薬機法)」を取り上げる。


景表法、リスクが非常に高い

美容や健康商材の表示・広告等に関する法律問題を扱う丸の内ソレイユ法律事務所。セミナーでは景表法・薬機法などの法規制に対応した広告規制の最新の状況について次のように解説した。

食品表示に関連する法律は複数あるが、優先すべきものは景表法・薬機法。この2つは違反した場合、社会的・金銭的リスクが非常に高い。

現状、景表法と薬機法では、景表法における法執行の数のほうが圧倒的に多いため、これに特に気をつける必要がある。

景表法違反は、主に「優良誤認」と呼ばれるもので、商品の品質が実際のものより良いと表記したりすることである。

これは消費者に誤解を招くような表記で、違反の疑いで行政指導が入るだけでも、大量の書類提出などが要求される。

また最悪法執行された場合は、慣例として日刊紙2紙に謝罪広告を出さなければならない。これだけでも一紙あたり最低300万円はかかる。

原料メーカーも対象に

また、対象商品の利益ではなく売り上げの3%を課徴金として国に収める罰も課せられるため、金銭的なダメージが計り知れない。弁護士を依頼することになれば当然その費用もかかる。

また法執行を受けたという事実が消費者庁などのHPに記載され続け、インターネットで企業名や関連商品を検索した場合、ネガティブ情報が最初にヒットしてしまうということが何年も続くことになる。

法執行に従わなければさらなる刑事処罰を受けることもあり、景表法を犯すリスクは非常に高い。

ちなみに景表法や薬機法について、原料メーカーなど「B to B」だから関係ない、と考えている企業も少なくないが、近年、原料メーカーであっても広告に強く関与していると認定された場合、対象になるケースも増えている。

初期対応を間違わないようにする

実際、最新のデータとして2015年に景表法・薬機法の指導があった件数が303件、そのうち優良誤認の指導が202件、さらにそのうちの27件が措置命令が下されている。

つまり10件に1件は先のような厳しい代償を払い、苦しい思いをしているということになる。

ただ、すべてのケースで最初から措置命令が下されるわけではない。まず指導・警告レベルから始まることがほとんどのため、初期対応を間違わなければ措置命令まで行かないで済む場合も多く、この辺りは法律に詳しい弁護士などを利用するといい。

機能性表示食品については、消費者庁がチェックしているのは「許可が認められた範囲を逸脱していないか」という点。

例えば、「葛の花由来イソフラボン」のことが挙げられているが、葛の花由来イソフラボンは「お腹の脂肪を減らすことを助ける機能がある」という表記は可能である。

しかし、「それを摂取しさえすればどんな条件下でも誰でも容易に痩身効果が得られる」と過度な期待と誤解を招くような表記をしたことで問題になっている。

さらに、ダイエット関連の商品にありがちな「個人の体験談です」という但し書きの「打ち消し表示」。

これについて、消費者庁は今年7月、「打ち消し表示をする場合は、被験者の数、効能が得られた人の割合、効能の見られなかった人の割合を明瞭に表示すべき」と通達し、事実上の打ち消し表示禁止を発表した。

薬機法については、医薬品のような効果効能を書けないことがよく知られており、各企業もこのルールを遵守している。

各成分の研究やその成果の情報を開示することは重要なことで、優れた成分や商品を広めるには宣伝も必要だが、そのことが損失にならないよう、社内で法令遵守のポリシーを明確化し、厳しく管理していくことが望ましい、とした。


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