機能性表示食品、今後の市場形成と課題
〜ケアメディカル産業展2017セミナー


2017年11月16〜17日、大田区産業プラザPioにて「ケアメディカル産業展2017」が開催された。同展示会セミナーより、持田 騎一郎氏(株式会社RCTジャパン代表)の講演「制度3年目でトクホを超えた、機能性表示食品で成功するのは?」を取り上げる。


機能性表示食品、2年で1000件以上が受理

2015年4月からスタートした機能性表示食品は、わずか2年で1000件以上の製品が受理、これまで様子見の企業も機能性表示食品の可能性に注目している。

各企業が商品開発に着手し、健食業界では「機能性表示食品でないともはや売れない」といった雰囲気さえある。

持田氏は機能性表示がスタートする前から薬事法関連のアドバイザーを行っているが、機能性食品表示がスタートしてからはほぼその相談ばかりという。

これまではメーカーとのやりとりが主だったが、ここ数年は原料メーカーや海外のメーカーからの相談も増えているという。

当初、機能性表示食品制度が施行されても、インパクトや影響はそこまで大きくないとの予測がされていた。

しかし、これまで薬事法で禁止されていた「健康食品の効果効能の表示」の解禁は、企業にとってはエポックメイキングなこととなった。

そればかりか、健康食品の関連企業だけでなく、食品メーカーや生鮮食品関連業者にも大きな影響を与える結果となった、と持田氏。

今後の市場形成、米国の例が参考に

今後の市場形成については、米国の例が参考になる。米国では1994年にDSHEAという機能性表示食品制度と類似した制度がスタートした。

その後20年でサプリメント・健康食品の市場規模は4倍に拡大した。つまり、現在の日本の市場規模は1兆5000億円だが、20年後は単純に見積っても6兆円市場になることが予測される。

実際、機能性表示食品の流れに乗った企業にはどのような影響があったのか。

例えば、ファンケルの「えんきん」は既存商品のリニューアルを機能性表示食品として仕掛け、前年比4倍の売り上げを達成した。

また、雪印メグミルクはガセリ菌ヨーグルトの発売をプレスリリースしただけで、商品の発売前に株価が急騰した。

景表法違反や表示のミスマッチの問題も

しかし、機能性表示で必ず売れる、儲かるということでもない。

例えば、今年11月に消費者庁は「葛の花イソフラボン」を配合する機能性表示食品を販売する16社に景表法違反の措置命令を出した。

これにより措置を受けた企業は売り上げの3%を課徴金として納めなければならず、かなりの打撃が報じられている。

この出来事により、今後、「このA社の広告は問題ないのか?」「うちがダメなのにB社がOKなのはどうしてか?」といった、企業間の告発や足の引っ張り合いも懸念されている。

また、イソフラボンは「女性ホルモンや更年期の女性にマッチしている」ことが知られるが、機能性表示食品は病気や病人を対象にはできないため、表示については「骨の健康」というミスマッチなものになってしまい、消費者を混乱させかねない。

「菓子」の形態も伸びている

機能性表示食品の形態としては、サプリメントや栄養補助食品や清涼飲料水が多いが、「菓子」の形態も非常に伸びており、これがビックマーケットになることも予測される。

サプリメントに抵抗のある人々にとって、機能性表示食品の飴・ガム・チョコレートなどは非常に売れていると持田氏。

また、機能性関与成分については、直接的かつ間接的に定量できなければならない。例えば、高麗人参のように関与成分が不明な素材は現状では表示が認められてない。

他にも、膝関節対応成分としてよく知られるSAMeなども医薬品成分であるため認められていない。

現在は糖類も過剰摂取につながるため認められていないが、来年のガイドラインでキシリトールや希少糖が認められる可能性も高い。

今後さらに、質の高いエビデンスの提出や「新・食品表示摂取基準」へ対応やカギとなる。

制度がスタートして3年。今からスタートしても追いつける可能性は十分あると持田氏。

消費者にも企業にも非常に価値があり、制度そのものもバージョンアップも繰り返されているため、引き続き注目して欲しいとまとめた。


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